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Tellus
2-1誘拐と再会
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「世界魔科学統制機関No.のリーダーだ。」

意外な人物にカインは驚くがアベルは続ける。

「だが彼は持病があった。そして悪魔は宿主の生命力を糧に力を宿主に分ける訳だ…彼は悪魔を宿してしまえば恐らく一年と持たず死ぬだろう。だが科学者はこのチャンスをどうしても見逃せず、クローン体という手段を選んだ。」

「それで生まれたのが俺達?」

アベルはまたしても首を横に振った。

「実際には大量の人体実験を行った末に俺達が生まれた。大量の犠牲の上に成功したのが俺達たった二人だ。」

日々命を捨てるように戦うカインが珍しく自分の命のありがたさを感じていた。

「あれ?ちょっと待てよ…つまり…俺とアンタは本当の兄弟?」

今までの話を聞く限り同じ人物から出来ている訳だからそうなるはずだ。

「そう捉えることもできるな」

そうだろうがなかろうがあまり関係ないが本当に血が繋がっていると考えると妙なものだ。

「もう話はいいだろう。俺はもう行くぞ」

そう言うと椅子から腰を上げ、来た道を引き返さず部屋にある戸棚をどけると道が姿を現す。

「ここから直接外に繋がっている。ここから逃げれば機関の兵士は簡単に撒けるだろう」

「兄貴は?」

開けるだけで進もうとしないアベルに問い掛ける。

「俺はまだやることがある」

「さっき言おうとしたことだけど俺は師匠との約束を違うつもりはない…この意味同じ弟子のあんたにもわかるだろう?」

師匠との約束それは…

「曲がったら殴ってでも直す」

「これだけ力の差を見せられてもか?」

カインは何を勘違いしてるのだとフッと軽く笑う。

「アンタを倒すのが目的じゃない、アンタの曲がった根性を叩き直すだけさ」

アベルも口元が緩み軽く笑う。

「お前の無茶な所も相変わらずか…いいだろう楽しみに待っておこう」

カインは隠し通路進んでいく。



隠し通路から出ると言っていた通り外であり、機関の兵士を撒くどころか見当たりすらしない。

「まずはこの怪我をなんとかしねぇとな」

体に残る火傷は自己修復機式のお陰でマシにはなっているが完治したとは言えない。それに指名手配犯が正規の病院に治療を頼むわけにもいかない。となればカインの知る限り一つだけ犯罪者でも入れる病院を知っている。その病院を目指し足を進めた。
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