暁 〜小説投稿サイト〜
Tellus
2-1誘拐と再会
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れは見た目だけであり、実際には黒々とした人間の何倍もある腕に変化する。

「兄貴は自分が何者か…俺が何者か分かるのか?」

またしても沈黙が続くがアベルが沈黙を破る。

「いいだろう教えてやる…ついてこい」

その言葉に従い後ろをついていくが壁があるだけだ。アベルは屈むと地面を手で撫でるように触っていくと、とある場所で手を止め、押し込むと壁の一部が人一人分通れる位の扉になる。アベルは開いた扉に進み一つの部屋にたどり着くと、アベルは内側にあるスイッチを見つけると扉を閉める。

「まさかこんな隠し部屋があるとわな」

カインは隠し部屋の内観を見渡していた。質素な机に質素な椅子そして質素な保存食

「ここは元々エルフと戦争したときの地下壕だ…俺もここに居たからな…そしてここで助けられた」

アベルは一瞬懐かしむような目をしたが、瞬きと共に元に戻る。

「兄貴、いきなり本題だが俺は…一体何者なんだ?」

お互い手軽な椅子に腰を掛ける。

「そもそも俺達はとある計画で創られた…人ではない存在だ悪魔の血以前の話だ」

「俺達の一部は悪魔としての肉体が宿っているはずだが、悪魔の一部とはいえまだ生きている…そして宿主を選ぶ」

「選ぶ?どういうことだ?」

「悪魔という種族は人間よりも大きく優れている。体も頭も、それ故に人間には元々一部とはいえ悪魔を宿すなど過ぎた事なのだ。通常の人間ならば心を喰い尽くされ、自我を飲み込まれる…そして悪魔を移植する計画の前に悪魔を移植する依代を創る計画が俺達を生んだ」

「ちょ!ちょっとタイム!」

アベルの口からは聞き慣れない単語の数々に両手を上げ、タイムを要求した。

「なんだ?」

アベルもどこにタイムする要素があったのだ?と不思議な顔を浮かべている。

「さっきからスルーしてたけど悪魔なんて本当に存在してるのか?召喚の魔法とかじゃなくて?」

召喚の魔法として実際にガーゴイルといった類いのモンスターを召喚して戦わせる魔法もある。

「もし召喚の魔法なら一定時間経てば消えるだろう?」

事実召喚の魔法には制限時間が掛けられ、制限時間を過ぎれば元の世界に帰る。

「じゃあもう一つ…なんで悪魔を人間に移植するなんてイカれた計画を立てなきゃいけなかったんだ?」

「それは勿論エルフに対抗する兵器としてに決まっているだろう」

カインは盛大な溜め息が出る。アベルが続けるぞ、と言いカインもそれを促した。

「そして幾度もの人体実験の中でとある人物に出会った。唯一の人体実験成功者」

カインは俺達?と質問を飛ばすがアベルは首を横に振った。

「俺達のベースとなった人間ヒレン=フウという男だ。」

聞き覚えのない名前にカインは首を捻る。
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