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Tellus
2-1誘拐と再会
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沈黙が続く。すると、階段の方から多人数の足音が聞こえる。カインは刀を抜こうとするが、アベルは左手を軽く上げることで制する。

「カイン=フルソードに…そちらは幻影騎士だな?」

機関の部隊丸々一つ五十人程が来たが、そんなことよりもカインは幻影騎士の名に驚いていた。幻影騎士とは世界で二番目に高い賞金を掛けられた者の異名だが、容姿が一切分からず分かっていることは次々と名の通っている強者を斬り続けていること位だ、それ故に幻影騎士と名がついた。

「弱者をいたぶる趣味はない一撃で終わらせよう」

アベルは腰辺りに刀を這わせるように密着させ大股に足を開くと砂埃が立ち、ロングコートで隠れていた足元が見えるほどに上がる。アベルの右手が薄くだが、黒く光るのをカインは見逃さなかった。次の瞬間軽いジャンプで四メートル程飛ぶと、部隊の部隊長らしき男が声を張り上げる。

「撃てぇぇ!」

一部隊の集中砲火が迫る。空中では避けるのは不可能に近いが、アベルの本体は地上に立っていた。つまりは空中に居るのは幻影であり、銃弾は幻影のアベルに着弾している。アベルは銃声と共に消え、五〜六秒程で刀身を真っ赤にして帰ってくると、刀身に付いた真っ赤な液体を一振りで払い、胸の前で真横にした鞘にゆっくりと刀を納刀する。刀を納めると同時に部隊全員の首は斬り落とされていた。次の瞬間に壊れたスプリンクラーのように切断面からは血飛沫が派手に上がり、この広い大広間を一瞬で血の臭いで充満させた。カインは目を見開くことしかできなかった。声にすらできない。今の現象をどう言葉で表していいのか分からなかった。残像すら見えるほど早く、常人には何が起きたかはまず分からないはずだ、現にあの部隊の半数の人間は死因すら分からず死んでいっただろう。

「…幻影撃滅」

アベルはそう言った。

「剣幻流の奥義だ…言ったところでお前には無意味だろうがな」

幻影撃滅という名前と今見たアベルの動きでどんな技かは見えてきた。簡単に言ってしまえば、幻影撃を高速で何度も行っているのだろう。だがこの技は最初のフェイクは幻影だがアベルが部隊に斬り掛かったのは一人ということはこれは魔術的なスキルよりも身体的なスキルが要求される。それにしてもたかが五秒で五十人の命を奪うなど尋常ではない。そして圧倒的な身体能力いくら特別な力が宿っていてもあれは異常だ。

「アンタ“誰だ?”」

口は自然と開いていた。

「何を言う?お前と俺には同じ血が流れているだろう…そう悪魔の血が」

兄貴と同じ血?悪魔の血?カインの頭には疑問で溢れた。

「お前は本当に自分が普通の人間だと思っているのか?そんな物騒な右腕を持ちながら」

今まで使うのなるべく抑えていた右腕に視線を移すと、そこには普通の人間の腕がある。だがそ
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