暁 〜小説投稿サイト〜
とある物語の傍観者だった者
20話:C級映画
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か、こいつらアホだ。

 映画はイミフだし、後ろの方からは最悪のワルツが奏でられているし、土御門たちはアホだし、何一つ楽しめていないオレ。ふと隣の少女を窺うと感動して泣いていた!??

「超涙が止まりません」 

 オレも涙が止まらないよ。違う意味で。

「さて、この感動を引き継ぎ、昼の部を見ましょうか」

「……御意」

 昼の部は朝の部よりも地獄が待っていた。

 6時間耐久映画……

 トイレ休憩を済ませばすぐ始まるのであった。お昼ごはん食べる時間もありゃしない。

「「………」」

 タイトルは【好きだっちゃ】

 ……アウトだろ、これ。

 さっきのがラブコメならお次は純粋な恋愛ものだそうだ。

 ただ、内容が最悪で確かに耐久映画だった。少年少女がいろんなシチュエーションで好きというだけ……と恐ろしく眠たくなる。
 学校の教室で、授業中も、休憩時間も放課後も、校舎の裏で、トイレの中で、保健室で、屋上で、放送室で生放送とか、街中で、いろんな店で、カラオケで自分の番になり愛を叫び、家に帰宅しても、実は2人は義兄妹だったりまた義妹推しかよと思ったり、夕飯を食べている時も、お風呂入っている時も、ハミガキしている時も、トイレしている時も、寝る時も、寝不足になっても、朝起きても、朝食食べている時も、隣で両親がいちゃついていたら怒る自己中な2人だけども、また一日が始まり学校へ登校する時もずっと「好き」と言うだけ……と、まぁ微笑ましい限りでリア充爆破しろと言いたいけども。

 まだ1時間しか経ってない!!

 退屈すぎて、死んでしまいそう。いっそのこと殺してくれ!!

 残り5時間、遊園地やら水族館やら動物園やら海やら山やら川やら旅行やら宇宙やらいろんな場所で愛を伝えていただけども。

「うぅっ、本当に愛し合ってるんですね、この超義兄妹さん達は……ッ!!」

「………」

 またしても隣では超絹旗が超号泣していた。

「兄貴ー、私たちだってあの義兄妹に負けてなんかいやしないぞー」

「そうだにゃー、俺たちの愛が最強だにゃー」

 これはスルーしよう。

「ふひひ、ここがええんか? ここが気持ち良いんか?? ウサギちゃん」

「あひょ?? あひょひょひょひょひょひょひょひょーーー……っ!!」

 これはスルーできない。完全に女がラリってる……

 もうオレは何事にも動じない精神を身につけたつもりだったが、まだまだ修行が足りないらしい。土御門兄妹はともかく、後ろの奴らはこの映画館から追い出したい気持ちで一杯だった。

「いやー、中々の超名作でしたね」

「……そうだな」

 オレの顔はやつれているだろうな。それが自分でも分かるくらいげっそりしているぞ。
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