転入の理由
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「ねぇねぇ鈴蘭さん!入学してから僅か一週間で転入してきたのは、一体なんで!?・・・・・・あっ!言いづらい事なら、別に言わなくても・・・。」
誰だって、入学してから一週間という短い時間で転入してきた生徒には興味を持つ。例えばそれが、暗い雰囲気を持つ人物ならば、イジメにでもあったかと思うだろうが、やってきたのはまるで太陽かと見紛う程に明るい美少女だ。彼女を見て、イジメなどの重い話は連想しにくい為、気楽に聞けるような空気が出来上がっていた。
一時間目が終わった休み時間。鈴蘭は、質問したくてウズウズしていたクラスメイトに囲まれていたのだ。これも、転入生の宿命といえよう。
とはいえ、彼女はこの空気を嫌っていない。そもそも、注目されることなど承知の上でこのクラスへとやってきたのだ。権力をフル活用して。この程度、いくらでも対応出来る。
「私がここに来た理由?それはねー・・・。」
何やら鈴蘭が楽しそうに話している間、草薙護堂とエリカ・ブランデッリはヒソヒソと話をしていた。
「おい、どういうつもりだあの人。なんでここに来たんだよ・・・?」
「私に聞かないで頂戴・・・。三度の飯より騒動が好きっていうカンピオーネの方々の思惑なんて知るわけないじゃない。・・・それにしたって、サルバトーレ卿やヴォバン侯爵の動きが不穏だっていうのに、彼女に気を配るような余裕なんてなかったわよ。私、この国の地盤はないのよ?」
そう。ここ数日、カンピオーネの中でも特に問題児とされる二人の行動が怪しくなっていた。ドニの側近である王の執事は行方不明になるし、ヴォバン侯爵の居城付近では、常に風雲雷雨が轟いているのだ。
二人共が超ド級の戦闘狂の為に、周囲の魔術師たちは不安を隠しきれないでいた。実際、ヴォバン侯爵は自分が戦う為にまつろわぬ神を招来したり、ドニはこの間の事件の時、【伊織魔殺商会】にまつろわぬ神の連絡が行き渡らないように工作したりしていた。この二人、強い相手と戦う為には手段を選ばないという点で似ているのである。
当然、新たなカンピオーネ草薙護堂の側近であり、【赤銅黒十字】の幹部であるエリカも、彼らの動きを把握しようと動いていたのだ。
しかも、彼女にとって【魔界】はアウェー。情報網の構築も出来ていない・・・というか、多数の術者が鈴蘭たち【伊織魔殺商会】に惹かれてくるであろうまつろわぬ神を恐れて国外に逃げてしまっていたので、この国の術者人口は過去最低のものとなっていたのだ。これでは、いくら情報収集をしようとしても無駄である。何せ、一応は国家公務員である【正史編纂委員会】のメンバーでさえ人手が足らず、機能不全に至っていたのだから。
これではエリカを責めることなどできまい。
―――と、彼らが内緒
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