暁 〜小説投稿サイト〜
自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第十三話
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
とにはいくつかの疑問を呈せざるを得ない」
 フェザーンの人口は帝国全体の13分の1を占めとても管理できるものではなかったのである。
「たとえば彼が旧帝国の副宇宙艦隊総司令官の役職にあったとき、彼は焦土作戦を行った。その作戦は効果的で同盟は惨敗した。しかし忘れてはならない。かれは自らが守るべき人々を敵である同盟から守るどころか日々の生活な食料品を含めた物資だけを徴発しほんのわずかな食料しか残さなかった。私が言いたいのは作戦の効果ではない。ラインハルトは守るべき民間人を守らずそれどころか飢えさせ利用し殺すような作戦を平然ととれるという事実である。つまり帝国に住んでいる人々すべてが簡単に切り捨てられる可能性を持っているということだ」
 放送の内容はあり大抵なネガティブキャンペーンである。このような放送帝国臣民が聞いたところでほとんど効果がないであろう。彼らは事実としてラインハルトから恩恵を受け同盟から何も受けていないからだ。しかしフェザーン人は別である。占拠されている不満に漬け込み煽っているのだ。
「ラインハルトの統治への不信にほかにはヴェスターラントの件がある。証拠として提示された映像を解析すればわかることだが……」
「おい聞いたか?帝国軍の双璧の片割れが同盟軍にやられたらしいぞ」
「ああ聞いた。ほかにも次々と帝国の艦隊がやられているらしいな。もしかしたら同盟軍が勝ってしまうんじゃないか?」
 話をしている2人は商人だが、アンダーグラウンドの放送が流れるようなところにいる時点で反帝国派であることは明白である。
「はは、いくらなんでもそれはないだろう」
「そうだな。しかしもし同盟が帝国に一泡食らわせるってのがあるなら乗ってみたいとは思わないか?」
 一方の男はテーブルの上にあるグラスを眺めた。2つあるグラスの中身は両方ともほとんど減っていない。
「……酔っているわけじゃあなさそうだな。それはどういう話だ?」


 フェザーンに移された帝国軍本部である大本営は混乱に包まれていた。守備隊であるメックリンガー艦隊が敗退し急きょ脱出せねばならなくなったのである。
 それに加えどこからか帝国軍の敗退を嗅ぎ付けフェザーン市民が暴動まがいのデモを起こしていた。
 脱出の指揮をとったのはオーベルシュタイン元帥だった。彼の指揮は完璧であったが、それ以上に人を安心させる何かに欠けていた。
「船が足りないぞ!何でもいいもっとよこしてくれ」
「軍艦は迎撃に出る。脱出する奴はほかの船に行ってくれ!」
「今更迎撃などできん。それよりも早く人を乗せて逃ろ」
「市民に発砲はするな!帝国の威信を貶めるつもりか」
 船がまったく足りていなかった。数千万にも上る人員事前の用意なしに一度にを乗せて運ぼう、しかも輸送船より足が速い軍艦から逃げつつなど無理難題である
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ