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自由惑星同盟最高評議会議長ホアン・ルイ
第十三話
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 同盟軍がフェザーン回廊に侵入、その結果妨害電波によって帝国本隊とフェザーン駐留部隊・帝国本土の駐留部隊との通信が途絶。これによりフェザーン駐留部隊は同盟軍の回廊侵入を察知する。
 フェザーン駐留艦隊司令官のメックリンガーは初め機雷を撒こうとした。しかし回廊を機雷で封鎖すればそれは長期にわたり民間船をも通れなくなることになる。そうすればフェザーンの基幹産業は壊滅的打撃を受けるためそれを断念。艦隊のみで迎撃に出ることになる。
 メックリンガー艦隊は数にいて同盟本隊に劣るが狭い回廊の地形を生かし防御の姿勢を取った。同盟領から来る帝国本隊、もしくは帝国領からくるワーレン艦隊と合流するまで防御に徹する構えである。対する同盟軍は限られた時間での突破を迫られた。
「撃て!」
「撃て!」
 人類史上初めてフェザーン回廊での放火が交えられた。帝国軍、同盟軍ともに押しもせず引きもせず数時間の打ち合い続ける。
 その静止状態を打ち破るべく先に行動を起こしたのは当然時間的制限がある同盟軍である。彼らは帝国本隊がここに来るまでに目の前の敵を突破しなくてはならない。出来なければ前後を挟まれて袋叩きである。
 同盟軍は凸陣形を取り突撃を敢行した。
 央突破を図るべく突撃を始めた同盟軍に対し帝国軍は中央だけを下げV字状の陣形を取り縦深陣となった。
「さすがのヤン・ウェンリーも焦ると見える」
 同盟軍の動きに合わせ完璧なタイミングで縦深陣を作り上げたメックリンガーはそうつぶやいた。帝国艦隊の放火は完全に同盟軍の先頭集団の勢いをそいでおりこれ以上の前進を不可能としているように見えた。これに対する同盟軍はおとなしく凸陣形を解き艦隊を再編成するするしかないとメックリンガーは考えていた。しかし事態は別の方向へと向かう。
 同盟艦隊の凸陣形の先端が突如わかれるように移動しその中から勢いのついた新たな戦闘集団が現れたのである。イメージとしては後ろのボタンを押すと先っぽが出てくるボールペンの先に似ている。
 凸陣形という外壁に守られ陣形を整えたまま十分な加速をつけた新しい戦闘集団は帝国軍の縦深陣を突破、メックリンガー艦隊は自身の予想をはるかに下回る時間での潰走を余儀なくされた。


 フェザーンのある酒場でアンダーグラウンドの放送が流れていた。流れているのは同盟の放送である。
「一般的に皇帝ラインハルトは名君とされている。彼が旧帝国宰相であったときから行われた政策はすばらしいものだ。閉塞感漂う帝国の規律と統制は見直され、公然と横行していた汚職は取り締まられ社会は活気を取り戻した。言い表せば一言だがその困難さは政治家として理解している。このような面では間違いなく彼は名君だろう」
 スクリーンに映っているのは現同盟議長のホアン・ルイである。
「しかしながら彼の行ってきたこ
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