第1章〜出会い Encounter〜
第3話
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に駄目なんて言えない。きっと怖くでもなったんだろう。一応こいつ女子だし。「はいはい」と言って俺は莉沙に向き合って生まれたての小鹿みたいに小刻みに震える莉沙の頭を軽くポンポンと撫でてやる。すると少しホッとしたのか、「……うん」と頷いた。
そうして俺は後ろに莉沙を連れたままで、さっきの莉沙のように鏡にぶつけないように手を鏡につけながら進んでいった。『……あの、さ。このままでいて、もいい……?』なんて、あんな顔であんな声であんな仕草であんなこと言われたら調子狂うっつーの……。他の奴等にもそんなこと言ったりすんのかな。それとも……俺だけ、なのかな。
……そんな馬鹿なことを考えていた俺は迂闊だった。
______ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
「うわっ!?」
「きゃああ!」
床が突如揺れた。この感じ、俺はあまり経験がなかったけど分かる。地震だ。しかもかなり大きい。
『地震です。地震です。お客様は近くの係員の指示に従って速やかに避難してください』
冷静で淡々と告げるアナウンス。そうは言っても係員なんているはずもない。俺は莉沙の手を掴んで走った。真っ直ぐ進んで左に曲がって次は右に曲がって。ゴールなんて無いんじゃないか? ずっと走り続けなきゃいけないんじゃないか? そんな不安が駆け巡る。
「はぁ……っ はぁ……っ」
見つけた。緑色のマーク。『非常口』と書かれているこのマーク。俺はすぐさまその中へと飛び込むようにして入った。
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