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空を見上げる白き蓮 別事象『幽州√』
プロローグ
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たのかもしれないな。
 
「すまんが、寝てたらそのおっさんが腹に突っ込んできたんだ。俺は被害者だ。武器を置いて話を聞いてほしいんだが……」
「腹に突っ込んで!? 男同士でナニしてんですか!?」

 説明するなり顔を真っ赤にしてあらぬ方向へと思考を暴走させて怒鳴ってくる美少女。さすがにその勘違いをされては不快感を露わにしてしまう。

「ふざけんな! あんたみたいな可愛い女の子にしか興味ねぇよ!」
「はぁ!? じゃあやっぱりこの暴漢達と一緒じゃないですか!?」

 どうにか弁解をしたのだが、何故かどんどんと間違った方向に話が進んでいった。
 少し頭を冷やしてもらうために勢いよく剣を振り抜き、相手を吹き飛ばして距離を置く。
 倒れるかと思ったが持ちこたえた彼女はかなり驚いていた。無言で尋常じゃない殺気を纏いこちらを睨んできた。怖いんですが。
 寒気が背筋に走るのを押さえつけて、もう一度詳しく、少し威圧を込めて説明を行うことにした。

「おい、俺はこの草原で寝てただけだ。そこにこのおっさんがあんたに吹き飛ばされて俺に衝突した。分かる?」

 一瞬考え込む仕草を見せたが、彼女は眉根を寄せて返答を口にする。

「……仲間じゃないという証拠は?」

 証拠は……ないな。実際、俺の言い分だけではこいつらと関わりが無い証明をする事など出来ない。ただ――――

「仲間って証拠もないんですが」
「う……確かに……」

 俺が放った苦しい言い訳を苦い顔をしながら素直に信じてしまう美少女。

――この子、頭がいいのか悪いのかわからんな。

「はぁ、じゃあ武器を君に預けるから今は信用してくれないか? ほら」

 ため息を一つ、後に武器を彼女の方に投げる。素手でも戦えるけど、とはさすがに言わない。

「……ただの暴漢とは違うようですね。あ、変わった剣。確かに賊ならこんな剣を簡単には渡しませんね」

 警戒しながら武器を拾いあげ、少しは信用してくれたのか殺気が落ち着いた。
 ここでこちらに敵意はない事を畳み掛ける事にしよう。

「逃げも隠れもしないしなんでも話す。どうせなら手を縛っても構わんぞ。それとも後ろ向いて寝そべったほうがいいか?」

 言いながら思考をフル回転させ自分の現状の把握を行い始める。

 まず自分の名前は徐晃。徐公明。真名は秋斗。……いや、おかしいだろ。
 なんで徐晃さんなわけ? てかこれじゃあ夢のままじゃないか。

 初っ端から思考に躓いて自問自答していると遠くから他の声が聞こえた。

「おーい、牡丹! 遅いぞ、何やって……うお!?」

 馬に乗って近づいて来た女の子はそこらに転がる気絶した男達を見て驚いていた。
 瞬間、俺の事を窺っていた少女はきらきらと瞳を輝かせて胸
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