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SAO編−白百合の刃−
SAO15-偽った双子
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闘をして行き、ある程度レベル上げをしつつ夜が近づいたら私達は引き上げて宿屋に戻った。戦闘が終えた私は、兄と二人っきりで今後のことを話すことにした。

「なぁ兄、サチのことなんだけどよ……」
「わかっている。サチの盾剣士のことだろ?」
「あぁ、そうだ……今日は特に何回も危ないところがあった……」

 元々、私達双子が入る前は前衛が一人しかいない、バランスの悪いギルドだった。紅一点であるサチは両手用長槍をメインスキルしていたが、もう一人の槍使いに比べて低いためか、今のうちに前衛に転向をケイタから薦められる。私も兄もサチを盾剣士としての役割を頭に入れることで、サチを育ててきた。そして最悪、私と兄が抜けてもバランスは崩れないようにサチのレベル上げを譲ってはしていたが……。

「バランスやステータスの問題に……サチ本人が危ういんじゃバランスどうこうの話じゃ済まないだろ」
「……そうだな」

 私も兄も以前から、サチだけがあんまり上手くないことは気づいていた。でも、それは慣れていないだけだと思っていたが勘違いだった。
 サチはいつも戦闘の時、どこか怯えていたようにも見えた。
 それは私の口が悪くて怯えているんじゃない。私がいることが恐くて怯えているわけでもなかった。サチは、モンスターと戦う恐怖に怯えていたんだ。
 もっと正確に言えば、死んだ自分がどうなるかわからないことを怯えていたに違いなかった。
 現実世界では心臓にナイフが刺されば死ぬ常識を知っている。そんな人殺しが通常だなんていう、非常識な日々を送る人がまずいないだろう。だから、人でもなく、それこそモンスターとの戦闘は恐怖そのものに感じる人もいるだろう。開始直後もパニックが原因で多くのプレイヤーが命を落としたのだ。いきなり人を襲うモンスターと普通に倒すことは簡単ではないのだから。
 サチは大人しくて怖がりな性格だから前衛どころか戦いすら向いていない。そもそも、サチは普通の女の子なんだ。刃を持って、凶悪な怪物と戦うことに対して、向いているか向いていないの問題ではない。ゲームだったら、まだ割り切れるところもあるだろう。でも、今はゲームだけど同時に現実でもある。負けたら死んでしまう恐怖を抱かないことが当たり前じゃないんだ、サチは。
 私と兄はサチをどうするかは、既に決めていた。このままサチを前衛に出せば、プレッシャーが強まり、恐怖も増加し、サチが壊れてしまう。今もきっと、逃げたいと思っている。そして、一刻も早く現実世界へ帰りたいと思っている。
 夢であってほしいと、誰もが何度も願うように……わかっていても、解り切れない思いがサチには絶対にある。

「……サチの分は俺達が頑張ろう」
「あぁ、頑張らないと私達が……」

 これでケイタ達に伝えれば、サチも少しでも恐怖から退けると思
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