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SAO編−白百合の刃−
SAO15-偽った双子
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ち間違ってはない。けど私が全身“黒い服”を選んでいるのは、単純に“好きな色”だからと目立たないからであることだ。
 私は否定をするも、サチは話を終わせなかった。

「それと……」
「それと?」
「先ほどから、ちらちらとキリトの方に視線を送っていたから……」
「見間違えじゃねぇのか?」

 はっきりと否定したものの、サチと言う少女は続ける。

「ううん、キリカは無意識にキリトのこと見ていたよ」

 嘘ついているとは到底思えない、真実の言葉。私に怯えてもなお、ハッキリと私に届かせる言葉に私はサチを見る目が変わったかもしれない。

「……別に好きでも嫌いでもないよ。兄のことが好きと言うより……心配なんだよ」
「心配?」

 偽った兄がギルドにバレた時、傷ついて壊れないか心配……なんて言えるはずもなく、

「人見知りだからだよ」

 あながち間違ってないことを伝えた。
 サチと言う子は、私と違っておとなしい女の子だった。どことなく兄と雰囲気が似ていると思ってか、

「サチ、以後よろしくな」

 サチと深く関わって、知りたいと思ったし、友達になれたらいいなと思った。



 私と兄が前衛に加わったことで、バランスが悪かった『月夜の黒猫団』のパーティ構成は改善された。もっとも、『月夜の黒猫団」の平均レベルよりも三つ上のレベルは偽りで、本当は二十もレベルの差がある双子がいるのだから悪かろうが良かろうが、結果的に改善されるようになるのは必然だったかもしれない。それを抜きにしても、私と兄が前衛に出ることで前衛不足を補える形にはなった。
 意外にもレベルが偽っていてもバレないもので、私達のHPバーを見ていれば不自然に減少しないことに気がついたはずなのに彼らは、コートがレア素材だからと言う……あながち嘘じゃない説明を信じてしまい、疑問に思わなかった。
 戦闘中はなれない両手棍で兄と同様にひたすら防御と援護に徹し、他のメンバーにとどめを刺すことによって経験値を譲り続けた。そうすることで、ケイタ達のレベルは快調に上昇し、私達双子の兄妹が加入してから一週間で、メイン狩場を一フロア上にするほど強くなっていった。

「ねぇキリカ、味どうかな?」
「うーん……現実と比べると、まぁまぁだな」
「比べる対象が間違っているよ」
「食えるだけマシだな」
「そう言いながら、食べるペース速いね」
「うっせ」

 ダンジョンの安全エリアでサチの手作り弁当を頬張る。まぁまぁと言いながらも実際は美味しかったが照れくさいので素直に言えなかった。
 サチの手料理を頬張っていると、兄とケイタの会話が耳に入った。

「もちろん仲間の安全が第一だよ。でもさ……安全だけを求めるなら、はじまりの街に籠っていればいいわけなんだ。こうして
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