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SAO編−白百合の刃−
SAO15-偽った双子
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誘われたらしく、どう言うわけか兄はレベルを偽って入ったらしい。
 名は『月夜の黒猫団』みんな同じ高校のパソコン研究会のメンバーが集まった部員達。ぶっちゃけ言えば戦力が弱いギルドだそうだ。当然のそのギルドは攻略組にはいるギルドではない。そんなギルドに兄は入ったのだ。
 今までは攻略組の中心となるギルドを断り続けた兄が、そんなところに入るなんて……兄はお人好しには入るかもしれないが格下のギルドを断ることもできたはず。
 となると、兄は格下ギルドには兄が求めているものがあったから、それに惹かれたかもしれない。

「……別に、ギルドに入ることは否定しないけどよ……なんでレベルを偽った?」
「それは……」

 言いづらそうに苦い顔になる兄に私はそのまま言葉をぶつけた。

「レベルを偽り、攻略組のソロプレイヤーだってことを隠すってことは兄を誘った連中を騙していることになるんだぞ? それに、今更人の温もりなど求める資格はないのだって言ったのにも関わらず、兄は温もりがあるギルドに入るんだよな?」
「俺は……」
「あ、わかっている。別に答えなくてもいいから……そこまで悪いことじゃねぇって。その……悪かった、意地悪なこと言って……」

 私は兄が悲しそうな顔を見て、自分が言ったことを後悔した。否定するように言ったところで、実は寂しがりの兄が孤独に耐えられるはずがない。『月夜の黒猫団』に入ったのは距離感のない友人同士の温もりに強く惹きつかれたんだ。そして一度惹きつかれたら、中々戻ることは難しいだろう。
 でも、もしものこと、温もりが冷めてしまえば、それは恐怖に変わる。そして『月夜の黒猫団』の友人同士のギルドに余所者の兄の味方はいない。
 必ず兄は傷つくだろう。それが何の切っ掛けかは知らないけど、偽る時点で人を傷つけているようなものだ。その時、兄を癒す人がいなければ味方もいない。

「わかった。でも、その変わりと言ってなんだけど、私も入るから紹介させろよ」

 だから、私は兄の味方になるために言った。言わなければいけなかった。

「お前、何もそこまで俺に付き合わなくてもいいんだぞ」
「うるせ、これは私が決めたことだ、妹のことを紹介するぐらいどうってことないだろ」

 私は強引な手段を使ってでも、兄の傍にいなくちゃいけない。例え、私が損になってしまう結果だとしても。
 兄がギルドに入る報告してから翌日。兄の嘘を突き通すために私もレベルを偽り、武器もカタナからスタッフに変えた。『月夜の黒猫団』にいる私は少なくとも攻略組の一員ではないことを示す意味でも、慣れない武器の方が良かったと思うからだ。だからと言って、レベルは何も変わりはしない。

「紹介するよ、こいつはキリカ。俺の妹でもある」
「紹介された通り、私はキリトの妹のキリカだ」
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