SAO編−白百合の刃−
SAO15-偽った双子
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らだ。
「……参ったな、やっぱり兄と私と関わってくると、知りたくもなる?」
「うん。ごめんね、キリカちゃん。わたし、キリト君のことも知りたいし、妹のキリカちゃんのことも知りたいの。それにキリカちゃん……昔、かなり荒れていた時期あったじゃない。それからどうやって改心したのかも知りたい……」
「……そっか」
「ごめんなさい……」
アスナはわかっているんだ。私が過去を話すことが辛くなるってことをアスナはわかっている。それでも私のことを知りたくて、兄のことを知りたくて私に訊ねてきた。
ここで否定することは簡単だけど、その後振り返ったら、本当に簡単に否定できたかと疑いたくなってしまいそうだ。でも、自分の辛い過去を話すってことは辛かった。
昨夜、私はドウセツに自分の辛い過去を話したんだ。今の私なら大丈夫かと思っていたけど、辛かった過去を話すことで“あの日”の記憶が蘇って激しく後悔をした。でも、傍にドウセツがいたから辛くても結果的には大丈夫になれた。
私はアスナに話しても大丈夫なんだろうか? ドウセツが傍にいないから、辛い過去を蘇る後悔に飲み込まれないだろうか?
……いや、違うな。
私はただ、傷つくのが嫌だから過去のことを話すのに躊躇っているんだ。それでは何も変わりはしない。
それに私はそれを承知済みで話さなければいけないと思う。私は過去という古い傷跡を抱えながら、引きずっていても前に歩くと決めたんだ。
だから話そう。私のこと、兄のこと、それを話してアスナと一緒にいたい。そして、兄を支えてほしい。
「これから話すことは、いろいろと変わる切っ掛けを作る結果となった…………私と兄の後悔の話をするわ」
●
ソードアート・オンラインがデスゲームに変わって、五ヶ月ほど経過したある春のことだった。
私は兄と共に攻略を目指していたけども、たまには前線から離れて、当時の前線から十層以上も下のフロアの迷宮区に武器の素材となるアイテムの収集を目的に潜っていた。
技術や知識は兄を見て聞いては学んでいたので、私がソロでも十分に行動できるようになった。兄のまねごとではあるが、私は私なりの力をつけてきたんじゃないかと思っていた。それはゲームの世界で慣れたように自分が強くなってきていると自惚れていたのもあった。
そんなある日、兄と別行動をした次の日のこと、兄から告げられた言葉は当時の私にとっては仰天するような言葉だった。
「ああぁ!? あ、兄が格下のギルドに入ったのか!?」
「あ、あぁ……その……成り行きで」
この頃の私は長い銀髪を黒に染めては一本に束ね、服装は兄と同じ黒一面に緑を混じった男っぽい服装が多い、荒っぽくて強気を主張するような私であった。
兄の話によれば、迷宮で偶然助太刀した縁でギルド側から
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