六話
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一夏少年と男装少女は倒れたか。俺が魔法を解除しようとした瞬間、強烈な違和感を覚えた。
「これは……なんだ?」
「ああああああっ!!!!」
まずいな……。ラウラの意識を感じられない。恐らくは気絶しているだろう。俺は魔法を解除して、翼による微調整でラウラの機体から発せられる雷を避ける。
そして、雷の雨が止んでそこにいたのは黒い物体だった。俺の鱗のような漆黒ではなく、濁った黒。目の部分からもれる赤い光。そして、心臓のように鼓動する黒い塊。
「……まったく、手間のかかる後輩だ」
これでも多少長生きした身。後輩の道を正すことぐらいはしよう。
「あいつは千冬姉の、千冬姉だけのものなんだ!それを……くそっ!」
さて、ラウラを助ける前にこいつを黙らすか。
「黙れ一夏。力無き者が騒ぐな。お前には荷が重すぎる」
「でもっ、あれは」
「黙れと言った。力無き思いは叩き潰される。大切なものを守るなら強くあれ。それが出来なければ言う資格はない」
久しぶりに語ってしまったか。昔の俺ににているからか?
「……わかった」
しかし、一夏少年には俺のようになってほしくないな。思いを通すには力がいる。だが過度な力は不幸を呼び寄せる。
そんなことを考えつつも俺はラウラに向かって羽ばたく。
一瞬で接近して白兵戦を挑む。普段近接戦では魔法も併用するが今回は完全なるハルバートによる技。
捻るように大きく引いたハルバートを回転させつつ突き出す。唸るように風を纏うそれはIS装甲を木材のように砕く。そして、俺は中からラウラを抱き上げた。
○ラウラ視点
私には強さが必要なのだ。
なぜ力を欲する。
強くなければ価値はない。
そんなことはない。しかし強さは大切だ。
そうだろう!
だが、価値がないものなどない。
なぜだ。ならなぜお前は強さを求めた。
大切なものを守るため。
わからない……。私はどうすればいいのだ。
ゆっくり探せばいい。見つかるまで俺もついていてやろう。幸いにも俺には時間が有り余っている。
私はそう言った彼の優しくもどこか悲しい微笑みを見て思った。
「私は……私だけはなにがあってもホムラと一緒にいる!」
そう………………私は彼のことを好きになっていた。
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