XV
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俺からすれば意味深だった。
占星術において破壊と再生、死と新生、無意識、変革、始まりと終わりなどの意味を持つのが冥王星。
既知の打破を目指す俺にとってはある意味で運命の星とも言えるだろう。
「ふぅん……でも冥王星って何か不吉じゃない? 前に雑誌か何かの占いコーナーで見たんだけどさ」
「深く知ればそうでもないさ。コイツは動乱や消滅のネガティブな意味を持つ一方で新たな一歩も暗示してるからな」
似ているので言えば天王星なんかもそうだ。
変化と超越と言ったものを司る星だし。
しかし、風花が選んだのは冥王星――――これはどういうことなんだろうか。
無論、アイツからすれば深い意味はないだろう。
だが、俺からすれば……ちょっと気になる。
「そうなんだ。あーあ、何か私も欲しくなって来たかも。ねえ、私ならどんな星が似合うと思う?」
「金星なんか割と似合ってるかもな」
「どういう意味なんだっけ?」
「愛情、恋愛、母性なんかだよ。抱えてるもんが全部解決したら……余裕が出て割とイイ女になりそうだし」
「やだ、口説いてんの?」
からかい交じりの笑顔を浮かべているが、別に口説いてるつもりはない。
実際、岳羽ゆかりと言う女は母性に溢れてると思う。
抱えている荷物が重くて苦しいからそういった面が目立たないだけだと俺は考えている。
荷物の中身に興味がないわけでもないが……個人のことだしそう深く踏み込むつもりはない。
もっとも、それが未知ならば分からないが。
「抜かせ。今のお前じゃそそらねえっての。もっとイイ女になってから出直しな」
「偉そうに言っちゃって。こっちこそアンタなんて願い下げだっての。女遊び激しそうだしぃ?」
茶目っ気混じりの視線でからかって来る岳羽を見ていて思う。
コイツは誰より年頃の女の子らしいのではないかと。
色々振り切っている美鶴、この年齢で確固たる道を見つけた風花。
そしてどこか得体の知れない公子、異質な女の中でコイツだけは限りなく普通に近い。
「バッカ、イイ男には女の方から寄って来んのさ」
「そう? 私別に寄りたいなんて思わないけど?」
「そりゃお前がまだまだガキだからじゃねえか?」
ソファーに背中を深く預け、煙草を咥える。
目で一服良いか? そう問うてみると岳羽は仕方ないなぁと言った感じに頷く。
「ちょっと気になってたんだけど……煙草の匂いってこんなに甘かったっけ? バニラの香りするけど」
「洋モクにはそういうのもあるんだよ」
「ふぅん、美味しいの?」
「まあな。頭も冴えるし――つっても医学的に見りゃ良いことなんてないがな」
百害あって一利なし、その言葉を体現していると言えるだろう。
俺自身もそう思っているし、養父母ら
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