XV
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「女の顔色には敏感でね。ついでだから何が言いたいかも当ててやろうか?」
「分かんの?」
そりゃ顔を見れば何考えてるかぐらい分かる。
それぐらい岳羽ゆかりという女は直情的なんだ。
人によっては短所だと捉えるが、俺はそれが美徳だと思っている。
感情のままに生きるのが人間というものなのだから。
「――――何で風花を止めなかったの? だろ」
風花がS.E.E.S.入りを承諾した時に目が険しくなり一瞬俺を見つめていた。
この間のやり取りがあったと言うのに何をやっているんだと。
「……そうよ。あれだけ大切にしてたじゃん。なのに巻き込むなんて何考えてんの?」
「アイツが自分で決めたことだ。流されて選んだ選択じゃない。俺が思う以上に風花は強いんだよ」
「……」
「そんなアイツが選んだ道にどうこう口を挟むのなんざ、無粋にもほどがあらぁね」
俺の言葉に納得したのかしていないのか、岳羽は深くため息を吐いた。
「私には分かんない信頼関係があるみたいね」
「そんな大層なもんじゃないさ。それと、一つアドバイスだ」
「何?」
「S.E.E.S.に――否、桐条美鶴に疑念があるなら直接本人に問い質しな。ちゃんと聞けば答えてくれるかもよ」
美鶴は不満が爆発するまでこちらからアクションをしないと言っていたが聞けば答えてくれるだろう。
その程度には誠実だ、まあ俺が同じ立場ならはぐらかすことを考えるかもしれんが。
「…………ホント何でも御見通しってわけか」
苦笑を浮かべる岳羽だが、俺の言葉にはイエスともノーとも答えていない。
彼女自身、躊躇っているのだろう。
踏み込むべきなのかそっと疑念に蓋を閉じるべきなのか。
その葛藤が苛立ちとなって岳羽自身を蝕んでいるのだ。
「ところでさ。裏瀬、ピアス変えた?」
「ん? よく気付いたな」
「そりゃまあね。アクセとかしてんのうちらん中じゃアンタだけだし」
「あー……成る程ね。伊織も真田も、他の女子連中も飾りっ気ないもんな」
美鶴なんかはお抱えの職人が仕立てたであろう良いもの着てるが派手ではない。
アクセサリーなんかは身に着けていない、質素で品の良いスタイルだ。
「結構良いデザインじゃん」
「だろ? 冥王星をモチーフにしてるらしいぜ」
「へえ……けど、裏瀬のセンスとは若干違うよね?」
「本当によく気付くなお前。確かにその通り。コイツは風花が見立ててくれたんだよ」
「風花が? 意外だわ。でも、あの子もセンス良いんだね」
「ああ。俺も意外だったよ。迷わずこれを選んだんだぜ?」
星をモチーフにしたピアスが展示されているコーナーで冥王星を迷わず選んだ。
どうしてかと聞いてみたら何となくだそうだが、冥王星ってのは
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