暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン リング・オブ・ハート
11:素顔を暴けば、こんなにも
[10/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
たすら続く。

「じゃあボクは、勝ったらキミの有り金を全部貰う! これでどう!?」

「全然オーケーだ。じゃあ俺が勝ったら、ユミルには今後、俺達のパーティーに参加して、この後の狩りに一緒に出掛けてもらう」

「なっ、なんでそんな事までっ……!」

「あー、そう言えばそろそろランチのメインも来る頃だな……。おーいアスナー、そのサラダ美味いー?」

「うぎっ……う、ううぅ〜っ! ……も、もう気が変わった! ボ、ボクが勝ったら……マーブルには悪いけど、キミ達にはこの宿から出て行ってもらう! もう話しかけてこないで! 顔も金輪際、見せないでっ!!」

「ああ、分かった。じゃあ俺が勝ったら……そうだなぁ、これはこっちの出費で構わないから、そのボロ服を着替えてもらおうかな。悪いけど正直、その格好は痛々しくて見てるこっちが耐えられないよ。せっかく親からいい容姿(もの)貰ってるんだから、もっと相応な()し物を羽織るべきだぜ?」

「よ、余計なお世話っ! ボクが勝ったらその冴えない身ぐるみも頂いて、マーブルに売りつけてボクの武器代の足しにしてやるから!」


「いいぜ。じゃあ俺が勝ったら……――今晩、俺達と一緒に晩飯を食べよう」


「じゃあボクが勝ったら……!! ――って…………え?」

 ユミルの目の業火が一瞬で鎮火し、キョトンとした目を向けられる。

「聞こえなかったか? ……もし俺がこの決闘に勝ったら、ユミルは俺達と一緒にディナーを食べる。……おっとそうだ、ココリの実はナシだぜ。ちゃんとマーブルさんの手料理を味わってもらう」

「は……? なんで、そんなの……」

 ユミルは僅かに左右に頭を振りながら、意味不明だと言わんばかりに困惑した顔で呟いた。
 俺は笑みの種類を不敵な笑みから、優しめなそれに変える。

「なんでって、そんなの決まってるだろ? ただ単に、俺が……いや、俺達がそうしたいからさ。……決闘を挑んで来たからには、ノーとは言わせないぜ?」

「――――――。」

 ユミルは絶句したまま、あらん限りに目を真ん丸くして、ただただ純粋に驚いている。

 こうして見ると、先程アスナが微笑みながら、ユミルは根は普通の子と言っていたのも、まんざら当てずっぽうではなかったらしい。
 そう。今に思えば……ユミルは、ひとたび素顔を暴いてみれば、こんなにも……

 ――こんなにも、表情豊かだからだ。

 俺達に見せた表情は、怒ったり沈んだ表情こそ多いが……今回の俺との会話のように、陰鬱そうだったジト顔が突然爆発したかのように怒り狂えば、子供さながらに涙目で悔しがり、そして今ではこんな風に無垢にキョトンと驚いている。
 表情に乏しいと自負している俺が言うのもなんだが、ここまで純粋で激しい
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ