11:素顔を暴けば、こんなにも
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たすら続く。
「じゃあボクは、勝ったらキミの有り金を全部貰う! これでどう!?」
「全然オーケーだ。じゃあ俺が勝ったら、ユミルには今後、俺達のパーティーに参加して、この後の狩りに一緒に出掛けてもらう」
「なっ、なんでそんな事までっ……!」
「あー、そう言えばそろそろランチのメインも来る頃だな……。おーいアスナー、そのサラダ美味いー?」
「うぎっ……う、ううぅ〜っ! ……も、もう気が変わった! ボ、ボクが勝ったら……マーブルには悪いけど、キミ達にはこの宿から出て行ってもらう! もう話しかけてこないで! 顔も金輪際、見せないでっ!!」
「ああ、分かった。じゃあ俺が勝ったら……そうだなぁ、これはこっちの出費で構わないから、そのボロ服を着替えてもらおうかな。悪いけど正直、その格好は痛々しくて見てるこっちが耐えられないよ。せっかく親からいい容姿貰ってるんだから、もっと相応な召し物を羽織るべきだぜ?」
「よ、余計なお世話っ! ボクが勝ったらその冴えない身ぐるみも頂いて、マーブルに売りつけてボクの武器代の足しにしてやるから!」
「いいぜ。じゃあ俺が勝ったら……――今晩、俺達と一緒に晩飯を食べよう」
「じゃあボクが勝ったら……!! ――って…………え?」
ユミルの目の業火が一瞬で鎮火し、キョトンとした目を向けられる。
「聞こえなかったか? ……もし俺がこの決闘に勝ったら、ユミルは俺達と一緒にディナーを食べる。……おっとそうだ、ココリの実はナシだぜ。ちゃんとマーブルさんの手料理を味わってもらう」
「は……? なんで、そんなの……」
ユミルは僅かに左右に頭を振りながら、意味不明だと言わんばかりに困惑した顔で呟いた。
俺は笑みの種類を不敵な笑みから、優しめなそれに変える。
「なんでって、そんなの決まってるだろ? ただ単に、俺が……いや、俺達がそうしたいからさ。……決闘を挑んで来たからには、ノーとは言わせないぜ?」
「――――――。」
ユミルは絶句したまま、あらん限りに目を真ん丸くして、ただただ純粋に驚いている。
こうして見ると、先程アスナが微笑みながら、ユミルは根は普通の子と言っていたのも、まんざら当てずっぽうではなかったらしい。
そう。今に思えば……ユミルは、ひとたび素顔を暴いてみれば、こんなにも……
――こんなにも、表情豊かだからだ。
俺達に見せた表情は、怒ったり沈んだ表情こそ多いが……今回の俺との会話のように、陰鬱そうだったジト顔が突然爆発したかのように怒り狂えば、子供さながらに涙目で悔しがり、そして今ではこんな風に無垢にキョトンと驚いている。
表情に乏しいと自負している俺が言うのもなんだが、ここまで純粋で激しい
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