11:素顔を暴けば、こんなにも
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言葉にマーブルは頷く。彼女はあくまで笑顔をしようとしているが、眉が八時になったままだ。
「大体想像は付いたかしら……? あの子は、ここの食べ物もどうしても食べてくれないの……。まともに食事をしたところも見たことないから心配で、お金は要らないからって作ってあげもダメだったわ……。あの子、むしろ申し訳なさそうに涙目になっちゃって……。だから、もう作ろうにも作れないの……。ごめんなさい、私じゃどうにもできないけれど……でも、あなた達のお腹なら満たせるから。どうかせめて、ここに居る間だけは楽しんでいってね。……それじゃあ、すぐ続きを持ってくるから、待ってて」
マーブルは申し訳なさそうにペコリと三角巾を下げ、再びカウンターの奥へと姿を消していった。
辺りを見ると案の定、三人はサラダなどに舌鼓を打って笑顔であろうと努めているが、その顔色が暗澹となりかけていた。
マーブルも笑っていなくちゃと言っていたが、早々で全員がこの様では先が思いやられること必至だ。
俺は強く思う。
――やはり……ユミルと、マーブルも含めた俺達は『現状の関係』を打破しなければならない。
だが、ついさっきもアスナ達が再三優しく声をかけても……曰く、手応えは僅かにあったらしいが、何度言っても門前払いに終わってしまった。……それなら。ならば、だ。
なら、いっそ……
「…………ふむ」
俺は軽く息を吐露し、席を立った。
「キリトさん? 食べないんですか?」
シリカ達が不思議そうに見上げる視線に、俺はニヤリと笑ってみせた。
「いや、すぐ戻ってくるよ。……さっきはシリカ達が頑張ってくれたからな。――次は、俺の番だ」
「……え? あ、あのキリトさんっ?」
困惑する三人をその場に置いておき、俺はユミルの居る暖炉の方向へと歩き出した。
前回のシリカの時と同じく、床に体操座りしている彼女は、俺が近付いてもまったく反応を見せず、あえて無視している様子で、強いデジャブを感じる。
だが近付いて見てみると、先程と違う点が一つあった。
ユミルは懐から小さな袋を取り出しており、その中身を指でつまみ出して口に運んではちびちびと齧っていた。ユミルの口元からカリコリと硬い何かを咀嚼する音が、僅かに俺の耳にも聞き取れる。
誰かが作った料理すらも拒んでいるから、自分で調達した食材のみを食べている……ということか。
「……今度はなに?」
「おっ」
少し驚いた。視線は炎に注がれたままだが、あちらから先に声を掛けてきた。……当然、心底うんざりとした表情と声色ではあったが。
「いや、何食べてるのかなー、と」
「……………」
表情はそのままに、じ
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