11:素顔を暴けば、こんなにも
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と笑って見せた。
「ユミルちゃんは、心の底からわたし達を嫌っていないってこと。それに、マーブルさんの言ったとおり、中身は普通の子なんだなって」
「へぇ、その心は?」
「ちょっ……『その心は?』って、あんた……」
それを聞いたリズベットは一瞬、口をあんぐり開けたあと、すぐに呆れた、と溜息をついた。
……なんだ、その人を小馬鹿にするリアクションは。
「あんたって……本ッ当、ニブいわね。だからいつまで経ってもニブチンなのよ」
「に、ニブチンて……」
再度リズベットに呆れた風にやれやれと手を振られる。
……もしかして、この中で唯一俺だけが男だから、こんなに彼女らと理解の差があるのだろうか? まさか本当に鈍いとか頭が悪いとは思いたくはないが。
「いい? こんな歪んだ世界で人と人とが疑心暗鬼になりやすい中、本当に人が人を嫌ってたら、普通あんな話にマトモに受け答えなんかしてくれないわよ? ……でもユミルちゃんは嫌々そうだったけれど、なんだかんだで改めて話を聞いてくれた。決意表明なるものを許可してくれた。……あの子が本当にあたし達を嫌ってたなら、立ち去るか、今でも無視を決め込んでたところが妥当な対応だったわよ」
「まぁ……確かに言われてみればそうかもしれないが……」
チラリと床に座るユミルを見てみれば、こちらに完全に背を向けていて表情は伺えない。
……と、その時マーブルさんがカウンター奥の扉から戻って来て、先程よりも大きなトレイを手に俺の視界を横切った。
「お待たせしました、お昼のランチよ。この人数だから、まずはこれだけ。もう一品あるから、すぐに持ってくるわね」
それぞれから感謝の言葉が続き、マーブルは手馴れた手付きでテーブルに次々と料理を並べた。メニューはホワイトブレッドにシーザーサラダ、オレンジに似た色と香りのミックスジュースだ。
それが合わせて、四人分。
「………ん? あのっ、マーブルさん」
トレイを空にしたマーブルが踵を返しかけた所で、俺は慌ててマーブルを呼び止めた。
「んもう、キリト君? 食べ盛りなのは分かるけど、男の子がそう急かさないの。最後の一品なら、持って来たときのお楽しみよ」
「あっ……いや、そうじゃなくて……」
くるりと此方に振り返った後、腰に手を当て、唇に人差し指を立てた仕草に一瞬胸を打たれつつも、頭に鞭を打ち、クールさを装う。
「その……ユミルの分は、どうしたんです?」
途端、マーブルさんの顔が僅かに曇り、立てた指が降ろされ、トレイを胸に抱く。
「……そうね。出来るなら、どうしたってそうしてあげたいのだけれど……」
「マーブルさん、もしかして……」
察したアスナの
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