第六十九話 十二月になってその十
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「丸焼きで」
「えっ、鶏一匹?」
「一匹まるごとなの」
「しかもそれが二つって」
「また凄いわね」
「いやいや、皆食うからさ」
プラネッツの面々の食欲を考慮してだというのだ。
「二つ用意したんだよ」
「一つでも相当じゃないの?」
琴乃は驚きを隠せない顔で美優に問い返した。
「まるごとって」
「しかも高くなかった?」
今度は彩夏が美優に問うた。
「鶏一羽まるごとって」
「いやいや、これが結構易いんだよ」
「そうなの」
「鶏だとな」
易いというのだ。
「そんなに高くないんだよ」
「そうなのね」
「中は中で食ったよ」
内蔵はというのだ。
「昨日の晩に家族で。美味かったよ」
「それで今日はなのね」
「五人でローストチキンなのね」
「そうだよ、じゃあいいよな」
これからだというのだ。
「食うよな」
「後は焼くだけよね」
景子もだ、美優に問うた。
「ローストチキンを」
「ああ、オーブンに入れてな」
「そうよね。じゃあ今から入れて焼いて」
「出来るまではワインもあるからさ」
ローストチキンと並ぶクリスマスに欠かせないものだ、見れば美優の家の中はツリーが綺麗に飾られている。その灯りが眩い。
「それ飲みながら待とうか」
「いやいや、もう焼けてるわよ」
だが、だった。話す五人のところに美優の母が来てそのうえでこう娘に言ってきた。
「お母さんが焼いておいたわよ」
「えっ、お母さんが!?」
「もうそろそろ皆来ると思ってね」
それでだというのだ。
「焼いておいたわよ」
「悪いな、お母さん」
「いいわよ」
笑顔でだ、母は美優に応えた。
「そのことはね」
「それじゃあか」
「ええ、これからお酒を飲んでよね」
「そのローストチキンも食ってさ」
「サラダはもう切っておいたわよ」
それもだというのだ。
「後はドレッシングをかけるだけだから」
「何から何までだな」
「クリスマスだからね」
それ位はというのだ。
「あんた達だけで楽しみなさいね」
「それで料理してくれたんだな」
「料理っていってもローストチキンの仕込みはもう美優ちゃんがしていたし」
後はその仕込んだ鶏肉をオープンで焼くだけだったというのだ。
「何でもないわ」
「けれどサラダは」
「切るだけじゃない」
そのスライスした野菜達をだというのだ。
「だからいいのよ」
「それもか」
「ドレッシングはあるから」
もう既にだともいうのだ、サラダには欠かせないそれもだ。
「後は自分達でかけてね」
「ケーキは買ってきたしな」
美優が買ってきたのだ、こちらは。
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