怪異の巣窟 後編
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たい本音の奇行を学園に配備されている監視カメラ越しに見掛け、彼女が“何も居ない筈の空間”に着ぐるみを差し出した時点でようやく存在に気づけたのだ…。
どんな理屈でカメラに映らず、ISのセンサーに引っ掛からないのか自分には分からない。しかし、これだけは言える…。
「……今日は私の負けね…」
人知れず悔しそうに呟いたその言葉は、静かな夜の空へと消えていった…。
◇◆◇◆◇◆◇
「て、ことがあったわけでさぁ…」
「ほぅ…」
時は戻って現在、7月。俺はエムことマドカに当時のことを語っていた。
ステルス装置と爆竹を使い、どうにか楯無を撒いて海に飛び込んだ俺は脱出用に造った例の海洋直結型非常口を逆走して隠し部屋に帰還。学園の奴らは俺の狙い通り侵入者が外に逃げた、もしくは組織や雇い主の元に帰ったと思い込んでいる。よもや自分達のすぐ傍に居るとは思うまい…。
「成る程……しかし、なんで部屋にクマの着ぐるみが置いてあるのかは分かったが…」
「んあ…?」
「さっきも訊いたが、何故そんなに憂鬱そうなんだ…?」
あ、そうなんだよ…クマの着ぐるみ返せて無いんだ。本人はスペアクマが無くなって少し不思議そうに(当時の奇行が寝ボケであったと確定)してたが、結局は深く気にして無かった。その後、返す機会も捨てる機会も来ず、とりあえず部屋に置きっ放しにしてるわけなんだが…
―――このクマの着ぐるみこそが、俺の憂鬱の元凶に他ならない…
「なぁマドカ…俺ってさ、学園中に仕掛けたカメラと盗聴器で情報集めてんじゃん…?」
「そうだな。だが、それがどうした…?」
「……それでさ、フォレストの旦那には報告書と集めた“データ”を“そのまま”送らなきゃならないわけで…」
「……あ…」
そう、“データ”を……“仕掛けたカメラの映像”を送らねばならないのだ…
―――クマの着ぐるみで全力疾走するシュールな自分が映ったデータも含めて…
「みんな今頃、腹抱えて爆笑してるだろうな。帰ったら何て言われるか楽しみだ、ド畜生…」
「……とりあえず、元気出せ…」
結局あの映像は亡国機業の全メンバーが拝見したらしく、フォレストとスコールに至っては俺の顔を見る度に笑い出す始末だった……ちくせう…
余談だが、最近になって『IS学園七不思議』というものが出来たらしい。その中の一つに『ランニング・ベアの怪』なる物が存在すると判明し、再び亡国機業に爆笑の渦を巻き起こすことになるのだが……それはまた、別のお話…
ついでに、その七不思議の噂を学園中に広めたの
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