PHASE-03 「学園」
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ンタの思惑に乗ってやりますよ」
こちらの眼を、見据えてアスカは了解の返答をした。
――決まりだな。
「分かった。ではすぐに支度を始めようか、アスカ。手続きは既に済ませてあるのだからな」
◇
「……かなり遅れちまったな」
この調子だと、編入とやらは諸々の準備を終わらせると明日の話になりそうだ。
トラックのコンテナの中で、腕時計を見ながらシンは嘆息する。
時計の造りもここの物は何ら変わっていない様で、初めて見た時は内心でホッとしていた。
言葉も同じで字も同じ。しかしシンはこの世界を、何かが違う場所と考えていた。結論はまだ出していない、いや意図的に出さないようにしている。
それを認めた瞬間、今後の行動指針が消えてきまう、そんな気がしたからだ。
目下のところの目標は原隊復帰、軍人とはいえ知り合いが死ぬと心が傷む。生きているのなら、出来るだけ早く顔を出してやるのがマナーというものだ。
それがいつになるのかは、皆目検討もつかないが。
「早くつかないのか? 全く、コッチは乗り心地が悪いんだ」
かぶっていた帽子を取り、団扇代わりにする。ついでに、着ている作業服のジッパーを少し下ろす。
誰にも聞こえないと分かりつつ、不服を漏らしてしまう。
なぜ、こんな場所に乗って移動をしているのかというと、ひとえにシンの脱走を警戒されている為である。
どうも助手席に乗って移動すると、道中でトラックをジャックされる危険があるとか。その点、コンテナの中は外から鍵をかけてしまえば、中からの出入りは不可能である。
シンと一緒にISも積み込んであるが、厳重なロックの為、彼が手出しをする事は全く敵わない。
「けど、本当に<インパルス>だったのか?」
ISの入れられたケージを睨みながらシンは呟く。各部装甲があまりに似ていた為、思わずそう呼んでしまったのだが、実のところ自分の考えにそれほど自信はない。
千冬からは、爆散した<インパルス>は何故か破片一つ残っておらず、代わりにあのISが有ったと聞いていた。理由を聞かれたが、そんな事はシンにだって分からない。
何から何まで分からない事ばかり、その上、超常現象など今のシンのて負える訳がない。いや、平時であろうとそんな話は願い下げである。
それにしても、面倒が起こるのを未然に防ぐ為との事で、移動前に無理やり着させられた作業服だが、面倒とは一体何だ。
赤く目立つザフトの軍服は参考資料として接収されたままだが、代わりとしても何故こんな地味な服なんだか。
蛍光色でもなく、地味な灰色の作業服である為、こういっては何だが全く目立たない。
道中の脱走は警戒するくせに、監視のし辛い服を着せているあたり、全く理解に苦しむ。
「まっ、俺には関係ないけどさ」
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