第58話 肉体死しても魂死せず
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誰が思いつこうか?
「まさか自分すらも実験台にするたぁな。これだったらまだプレシアのやってる事の方が良心的に思えるぜ」
「ですが、林博士の人格データを移植した筈の伍丸弐號も徐々に体内でバグが発生し、別の存在へと移り変わろうとしています。最早、今の伍丸弐號は全く別人へと変貌していると言って良いでしょう」
たまの口調が何処となく寂しげに聞こえた。からくりだと言うのに何故か銀時達の耳には彼女が大事な人を失い寂しそうなのが感じ取れた。
「たまって言ったっけ? 何故林博士はあんな事をしたの?」
「……貴方は、この世界の人ではありませんね」
フェイトを見てたまは推測した。彼女の外見や体から発する生気の様な物。どれをとっても江戸の人間には見られない類な事をたまは理解したのだ。
その問いにフェイトは静かに頷いて見せた。
「林博士があの様なからくりを作るようになったのは、病弱な一人娘芙蓉様の話し相手を作る事が目的でした」
「やっぱり、林博士は何処となく母さんに似ている」
苦い顔をしだした。フェイトの中では林流山のやり方とプレシア・テスタロッサのやり方が酷似しているように見えるのだ。
そして、その行く末も彼女は粗方予測する事が出来た。プレシアはジュエルシードと呼ばれる危険なロストロギアを用いて神秘の都アルハザードへ行こうとしていた。
死んだ娘、アリシアを蘇らせるために。
そして、林流山はやり方は違えど死んだ娘を蘇らせようとしている。
かりそめの肉体にかつての娘の記憶を入れた全く別の存在として。
だが、仮にそれが成功したとして、林博士は満足できただろうか?
恐らく、出来はしないだろう。何故なら、それで満足できたのならばプレシアはジュエルシードなどに手を出さなかった筈だ。
そう、フェイトもまた芙蓉プロジェクトと似た経緯で生まれた悲しき存在だったのだ。
「私と貴方は、何処か似ている気がするんだ。死んだ娘に似せて作られたまがい物」
「確かに、私は芙蓉様の人格データを持っているだけであり決して芙蓉様ではありません。言うなれば私は偽者です」
二人は互いの胸の内を明かす思いで話をした。お互い似た境遇を持つ者同士、何処か引き合う所があるのだろう。
「ですが、貴方は違うと思います。私は見ての通り機械で作られた者。其処に転がっている残骸と何ら変わりはありません。ですが、貴方は生命として其処に存在している。私は貴方と言う存在を素敵だと思えます」
「有り難う。昔ね、母さんに本当の事を聞かされた時、私は何もかもがどうでも良くなった事があったの。もう死んでしまいたいとさえ思えた。でも―――」
言葉を区切り、フェイトは視線を銀時達、そして外で未だに空しい努力を続けているなのはに向けた。
「こ
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