第十一章 追憶の二重奏
第八話 ベルセルク
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―――それで、こちらの素敵な騎士様は一体何者なのかしら?』
絶世の名剣を構え睨み付けてくるセイバーに、からかう様な口調でミョズニトニルンの声がかけられる。しかし、その声音には隠しきれない警戒心が混じっていた。
「下郎に教えるようなものなどない」
『―――ッ』
鋭い刃物のような返事に、一瞬ミョズニトニルンが鼻白んだような気がしたのは気のせいではないだろう。
『……随分な物言いね』
「その自慢の人形が壊されたくなければさっさとこの場から立ち去るがいい」
『あら、見逃してくれるというの? 騎士様は優しいわね。でも、生憎とそういうわけにはいかないのよ』
腰から剣を抜き放った二体のヨルムンガンドが士郎たちにその切っ先を向ける。
「数を揃えたからと言って、勝てると思っているのか?」
『そう、ね。確かにあなた相手に四体でも難しいでしょう。しかも、ガンダールヴに加えて予想外の戦力もいるとなると……』
『でも』、と続けてヨルムンガンドの首が士郎たちの背後―――ルイズたちに向けられる。
『あちらはどうかしら?』
「……ここを片付ければいいだけの話だ」
「ええ、そう時間をとらせません」
『―――随分な自信ね。まあ、確かに先程の様子を見る限りそれは否定できそうにないわね……本当に、用心に越したことはなかったわ』
ルイズの魔法が使えなくとも、タバサやロングビル、キュルケの力ならばヨルムンガンド相手でも時間稼ぎぐらいは出来ると判断した士郎は、出来るだけ迅速に目の前の三体を片付ける事に方法を模索する。ヨルムンガンドは他のゴーレムとは速さや防御力、攻撃力など比べ物にはならないほど強力であるが、それでも士郎とセイバーにとってはそう苦戦するような相手ではなかった。ゴーレムとは思えない素早さも、士郎たちにしてみれば余裕をもって対処出来るレベルであるし、桁違いの腕力と巨大な剣からなる斬撃も、当たらなければどうということはない。確かにエルフの先住魔法であるカウンターをかけられたその巨体からなる防御力は厄介ではあるが、それも宝具という桁違いの力と士郎とセイバーの実力を持ってすれば、破れないものではないからだ。
そしてそのことは、たった一撃で自慢のヨルムンガンドの両足を斬り飛ばされたミョズニトニルン自身も理解していることであった。士郎と謎の騎士を相手にすれば、三体(そのうち一体は両足を斬られまともに動けない状態である)でも時間稼ぎ程度にしかならないと。
しかし、彼女の声から焦燥や苛立ちと言ったものは感じ取れず。変わりにドロリとした悪意を含んだ言葉を士郎とセイバーに投げかけた。
「―――シロウ」
「わかっている……何かあるようだな」
セイバーの警戒の声に、士郎は静かに頷き
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