第十一章 追憶の二重奏
第八話 ベルセルク
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した剣を抜き放つと、勢いよく士郎とセイバーに向け降り下ろしてきた。
「それは相手による―――なッ」
天上から落ちてくる巨大な大剣。士郎とセイバーは示し合わせたように左右に分かれて跳ぶ。その間を大剣が落ちてくる。地面を揺らしながら士郎とセイバーを隔てる壁のようになった大剣を挟み、士郎とセイバーはヨルムンガンドに向かう。
ほぼ一瞬という瞬きも間に合わない速度で駆けた士郎とセイバーは、同時にヨルムンガンドの足下に辿りつくと手に持った剣を振り切った。
―――ゾンッ。
と言う異様な音が響き、続いて地揺れが発生した。
両足を切断されたヨルムンガンドが木こりに切り倒される巨木のように倒れていく。人間のように手をばたつかせて何とか姿勢を保とうとするが、努力の甲斐なくゆっくりと後ろに倒れていくヨルムンガンド。
『―――な―――ぁ―――ッ??!』
倒れゆくヨルムンガンドの頭部から躊躇いの声が高く上がる。驚愕で染まった声は「有り得ない」という驚愕と「何をした」という恐怖が入り混じった悲鳴を上げながら、ヨルムンガンドは大地の上に倒れ込んだ。
大量の土埃を巻き上げながら地揺れを引き起こして倒れ伏したヨルムンガンドを油断なく見つめるセイバーと士郎はチラリと視線を交わすと、軽く頷いた。
「反発するような不思議な感覚がありましたが、あの程度なら問題はありませんね」
「そうだな」
うつ伏せに倒れたヨルムンガンドの左右に立つ士郎とセイバーが、ヨルムンガンドの足を切断した際の感触を思い出しながら頷き合う。
倒れ伏したヨルムンガンドの足首から先には何もなく、あるはずのものがあった場所には滑らかな切断面だけが姿を見せており。本来あるべきものは先程ヨルムンガンドが立っていた場所にあった。
両足首から先を切り離されたヨルムンガンドは、大地に手を掛け必死に立とうとするが、ゴーレムとは思えない動きをするヨルムンガンドとはいえ、両足がなければやはり立つのは難しいのか、何度も立とうとしては失敗し転けてしまう。
士郎はその様子を見つつも、背後の子供たちの避難状況を確認する。大分落ち着いたのか、先程から聞こえていた泣き声はもう聞こえない。変わりにティファニアたちの子供たちを誘導する声が聞こえていた。その様子にこのままならば、無事に離れられると考えた時であった―――ミョズニトニルンの悔しげな声が聞こえたのは。
『っ、ヨルムンガンドの体を斬るなんて。流石はガンダールヴと言ったところかしら。まさか本当に使うことになるとは思わなかったわ』
忌々しげに呟かれた声が顔を上げたヨルムンガンドから聞こえると同時に、士郎とセイバーの頭上、そして子供たちを誘導しようとしたティファニアたちの頭上に巨大な影が生まれた
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