第十一章 追憶の二重奏
第八話 ベルセルク
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反応する暇もなく、起きた天変地異。
不動な筈の大地が跳ねる。
士郎たち一行の身体が跳ねた大地に吹き飛ばされ、地面から離れる身体と意識。その事実を得る間もなく、身体は地面へと叩きつけられる。足から降りたてた者は殆んどおらず、ほぼ全員が肩から尻からと落ちてしまう。余震のように微かに震える地面に倒れ込み、何が起きたのか全く理解出来ずパニックに陥る者たちの中、僅かに二名だけが冷静な思考を保っていた。
「セイバーッ!!」
その内の一人が二人目に名を呼ぶ。
名前を呼んだだけ。その相手が今現在どんな状況であるか把握していないにも関わらず、彼女ならばと言う絶対の信頼と共に名前を呼ぶ。
それだけで、十分と―――。
そして、
「皆立ちなさいっ!! キュルケっ! ルイズっ! ティファニアは子供たちを連れてここから早く離れてっ!!」
それは正しく相手に伝わっていた。
何時の間に抜き放った絶世の名剣を片手に、セイバーは未だ現状を把握出来ていない皆に指示を下す。地面に倒れ込み、混乱に陥っていたルイズたちは、セイバーの声に叩き起されるように立ち上がると、慌てて子供たちに向かって駆け出していく。倒れ伏し、泣きじゃくる子供たちに駆け寄るルイズたちの姿を目にし、大した怪我がないことを確認したセイバーは、この地震の発生源である巨大な影を仰ぎ見た。
「っ、巨人……?」
それは全長二十メートルは遥かに超えるだろう巨大な影であった。
太陽を背に巨大な影を作り上げるそれは、鈍色に輝く鎧を身に纏い、片手にその巨体と変わらない長大な大剣を握った化物である。士郎の背後、二十メートル程離れた位置に立つそれは、何とか子供たちをここから逃がそうとするルイズたちの様子を首を巡らしながら見た後、ゆっくりと大剣を握る手を持ち上げた。
「っ、―――ッ!」
巨人が何をするか気取ったセイバーが駆け出そうと足に力を込め、地を蹴りつけようと腰を落とすと、
―――ッドンッ!!
それを牽制するかのように爆発音と共に巨人が背後に吹き飛んだ。
「っな」
踏みとどまるセイバーが、瞬時に何が起きたか悟る。
目線を下げると、やはり思った通りの人物の姿があった。
「シロウ」
左手にデルフリンガーを握った士郎が、空いた右手を後ろに倒れた込んだ巨人に向けている。
その姿に士郎が何をしたか理解するセイバー。
投影した剣を投げつけ爆発させたのだ。
止めてしまった足を動かし士郎に駆け寄ったセイバーは、絶世の名剣を前に向ける。そして顔を前に向けたまま、横に立つ士郎に声をかけた。
「シロウ。まだ終わっていません」
「わかっている。手応えがなかったからな」
「ええ。どうやら一
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