第十一章 追憶の二重奏
第八話 ベルセルク
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いう時に何かした奴って言えばわかるかい?」
「……ああ、納得したわ」
顔を見合わせたキュルケとロングビルは同時に後ろを見る。
視線はしゃがみこんでコケてぐずり出した子供をあやすティファニア―――ではなく。
その更に後ろ。
集団の一番後ろを歩く中にいる子供や女ばかりの一弾の中、一際大きく見えるその姿―――。
「「―――シロウね」だろうね」
―――衛宮士郎である。
「疲れも見えてきてる、そろそろ休憩を取った方がいいかもしれんな」
「もう少し行けば小川がある」
「ああ、それじゃ、そこで休憩を取るか」
「わかった」
子供たちは未だ元気に見えるが、明らかにペースが落ちていることに士郎は気付いていた。
森育ちの子供とは言え、何時間も歩きどうしになれば流石に無茶である。村の中でも幼いと言える一際小さな子供たちは、昨日の夕方に追いついてきたシルフィードの背に乗せているとは言え、子供の中で一番年上でも十歳だ。どうしても速度が遅いのは仕方がない。別段急ぎではないし、森の中で何泊かしても問題はないとは考えてはいるが、何故か先程から嫌な予感を感じる士郎は、出来れだけ早く森を抜け出たいと思っていた。
「タバサ。休憩の時だが、すまんがシルフィードに周りを確認させてもらってもいいか?」
「どうかした?」
「先程から嫌な予感がしてな。気のせいならいいのだが、万が一と言うこともある」
「わかった」
「シルフィードには帰ったらご馳走してやると言ってくれ」
「……張り切りすぎて帰ってこないかも」
「流石にそれはないだろ」
「……」
「え? あるのか?」
「あの子、基本アホの子だから」
「それは……大変だな」
「もう慣れた」
前を行く子供全員を視界に収められる距離を保ちながら歩く士郎の隣には、自分の身長以上の杖を抱くようにして歩くタバサの姿があった。小さな身体は前を歩く子供達と殆んど変わらず、直ぐに体力がなくなってしまうのではないかと心配になってしまうが、実際のところは舗装された道を歩くような気軽な様子を見せており、危う気な様子は全く見られない。小柄な身体を音もなく歩く姿は、熟練の狩人のようであり、山を駆ける小鹿のようにも見える。
余裕をもって士郎と軽口を交わしたタバサは、先程の会話の内容を確かめるようにぐるりと辺りを見回した。
「確かに……何かおかしい」
「そう、だな。これは……っ、いかん―――っ!?」
周囲に漂う違和感に目を細め、手に握る杖を強く握り締めるタバサの横で、士郎も再度辺りの様子を伺った瞬間、ぞわりと総毛立ち瞬間声を上げた。
「皆っ伏せろッ!!」
次の瞬間―――地が跳ねた。
「「「「「―――ッ!!!???」」」」」
士郎の声に
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