第十一章 追憶の二重奏
第八話 ベルセルク
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小さな頃、何度も想った事がある。
それは夢とは言えない妄想のようなもの……。
『何時か王子さまが迎えに来てくれる』……そんな空想。
辛い時、悲しい時、不安な時……ふと思う。
『きっとやって来る。わたしを守ってくれる人が……きっと、何時か……』……そんな夢を。
辛い現実から……悲しい程の無力から……将来の不安から……その全てからわたしを守ってくれる王子さまが……何時か……と。
馬鹿な話。
そんなこと起きる訳がない。
そんな王子さま何ているわけがない。
……なのに……わたしの前に彼は現れた………………。
夢に見ていた王子さまのように甘い言葉を囁いてくれたりはしない……煌びやかでもなし……優雅でもない……けど、とても大きくて……優しくて……何より……暖かかった。
ありのままのわたしを見てくれるあなた。
些細な会話が楽しくて。
触れてくれる指先が暖かくて。
わたしに向けてくれるその笑顔が愛しくて。
傍にいてくれるだけで嬉しかった。
夢にまで見ていた日々。
だけど、わたしは次第にある想いを抱くようになる。
それは―――。
『もっと』―――と言う感情。
もっと、彼と話がしたい。
もっと、彼に触れられたい。
もっと、わたしに笑いかけて欲しい。
もっと―――傍に居て欲しい。
……もっと、彼の近くにいたい。
だから、わたしは彼の隣に立ちたかった。
そのための『力』はわたしの手にあった。
だから、大丈夫だと思っていた―――なのに―――。
……その『力』は、現れたのと同じように唐突に消え去った。
目の前が……真っ暗になった。
どうすればいいのか全くわからない。
このままじゃ、彼の隣に立つことが出来ない。
慌てて、焦って、混乱して……そんな時に……見た夢。
それはわたしの『夢』だった。
彼の隣に立ち。
共に歩むその姿。
その姿が余りにも綺麗で、眩しくて……。
どうすればいいかわからなくて……。
だから、ねぇ……。
……教えて。
わたしはどうすればいいの?
どうすればあなたのようになれるの?
あなたのように……彼の隣にいられるの……?
お願い……どうか……わたしに……教えて……。
……………………。
……ただ、何となく、だった。
夜中にふと目が覚めて、何気なく窓に顔を向けた時に見えた星空がやけに綺麗に見えたから……。
ちょっと外に出てみようと……そん
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