忘却の花冠
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いをし、窓を閉めそのままベッドの中に潜り込んだ。
ベッドの中はまだ先程までの温もりが残っていてこのまま瞼を閉じてしまえば寝てしまいそうになるくらいの心地良さがルヴァーナを包んだ。
「……っ」
「……っ……」
(………………何だろう?)
睡魔に襲われながらガウンをハンガーに掛けなきゃという理性と戦う彼女の耳に何かが聞こえてきた。
……それは、部屋の外、廊下から響いているように思えた。
気だるい体を好奇心に駆られてドアの近くまで移動さそ右耳をぺたりとそれに密着させる。
「それで?これからどうするつもりなの」
ミレイザの声だ、……でも何故だろう?幼い頃から聞き慣れているはずなのに、とても冷たい感じがする。
ルヴァーナの知る親友は普段、面倒見がよく、優柔不断な自分とは違って物事をハッキリと言う性格であってもああも険しい態度はとらない筈だ。
相手は誰だろう、と更に耳を澄ませる彼女はここが自分の家だということ忘れていた。
「どうするも何も……」
「ハッキリしないわね」
「…ごめん。……でも、これ以上はルヴァーナを傷つけてしまう」
「だけど、あの子が辛い思いをするのよ?それでも平気なの」
「……」
「私はもう嫌なのっ。ルヴァーナが物言わなくなった時の私の気持ちが貴方に解る?」
「いや…」
「そうよねっ。所詮、アズウェルはあの子とは血は繋がっていないんですものね」
「………………」
「ごめんなさいっ……言い過ぎたわ」
「いや、いいんだ。キミは本当に良くしてくれていると思っているよ。これからも仲良くしてくれると嬉しい」
「言われるまでもないわ。後、貴方とも、ね」
ありがとうと、いつものように上品に笑う声は何故だかとても儚く思えた。
時刻は二十二時一分前、なるべく音を立てないように勝手口から家を飛び出し、指定された花畑に着いた彼女の目の前には先刻までの鋭い目つきとは打って変わり、何かを決心したような真剣な表情でこちらを見るコンラッドがいた。
「時間ピッタリだね」
自宅を飛び出してから増す頭痛はまるで、体中が心臓になってしまったかの如く脈打っている。
「……話っ…て……何?」
遅れないように走って来たのとそれに堪えて言葉を発したのが、今の間を作った。
何だろう?……何か……ある?
「…その顔ってことはまだ思い出せない?」
彼はそう言うと、こちらに向かって歩いてくる。
肩には何故かいつか見たことがある銃を掛けている。
約束の時
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