本当の流派
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俺の一日の始まりは事故にあって以来いつも決まっている。
まず起きると、車椅子に乗り換えて縁側に出る。そこで10分ほどボーッとしたあと玄関にまわり、新聞を取る。そしてリビングに戻り新聞を読みあさる、これが今の俺の1日の始まりである。
そして新聞を読み終える頃には母さんが起きてくる。
「ふぁ〜、おはよう雪羅〜・・・」
「おはよう母さん、昨日も作業してたの?」
「うん、色々やってたらこんな時間に・・・」
母さんは眠い目を擦りながら言った。
「たまには息抜きでもしたら?」
「そうしたいんだけどね〜・・・」
「体だけは壊すなよ、本当に」
「りょ〜か〜い」
そう言って母さんはコーヒーを飲み始める。
「そういえば親父は?また道場?」
「ええ、この時間帯は多分そうよ」
「はいよ、それじゃあ行ってくる」
俺は家の裏手にまわるとそこには平屋の建物がある。そこが家の道場であり、祖父よりも前の世代からある由緒正しき道場である。
「親父」
「おお、雪羅か。どうだ、調子の方は?」
「変わらずだよ、足もコレも」
俺は足につけたPSに目をやる。
「そうか・・・雪羅、軽く振ってみろ」
「振るって、竹刀を?」
「そうだ、ついでに型をやってみろ」
型とは焔星剣流のこと、この流派は代々受け継がれてきたもの、親父はその継承者である。
「了解、上だけ?」
「いけるなら、下も使っていいぞ」
「了解、それじゃあ・・・」
俺はPSを起動させ、一通りの型を通す。親父はその姿をじっと見ていた。
一通りの型を通し終えると。
「うむ型にも剣にも乱れがない、動きにも慣れがてできたな」
「まあな、最初は大変だったけど・・・」
「雪羅、お前はその剣をどう使いたい?」
「どうしたの?藪から棒に?」
「いいから答えろ」
親父の顔は真剣そのものだった。俺も表情が引き締まる。
「俺は、この剣を・・・仲間のために、大切な人のために使いたい。たとえ、自分を犠牲にしても・・・」
「それがたとえ自分の命でもか?」
「ああ・・・」
「・・・・・」
親父の表情はしばらくして苦笑に変わった。
「どうやら本気のようだな、向こうで相当鍛えてきたようだな」
「・・・・・」
「いいだろう、今のお前なら“本当の流派"を教えられる」
「本当の、流派・・・?」
「ああ、あくまで焔星剣流は複数の門下生に教えるための言わば劣化版。だがその門下生の中で最も志の強いものにはこの流派を教示するという伝統があるんだ」
「俺にその資格があるとでも?」
「そう言うことだ。その剣は焔の遥か上を行き、その剣は護るため
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