PHASE-02 「現実」
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ね。バカバカしい質問ですよ」
シンは、彼なりに丁寧な言葉遣いに改めて再び、返答する。
「それが分からないから、こう質問をしている」
千冬は一度嘆息して、改めてシンの眼を見据える。
本当の事を言っているのか判断する気だ、とシンは感じた。
こういう相手に嘘は通用しない。まして自分は最初から嘘をついていないのだ。
シンもお返しに千冬を睨み返した
「理由を言ってやる。一つはお前の所持していた装備は、世界中の何処でも製造されていない。二つはPKFに問い合わせたが、シン・アスカなどという名前の男は出向していない。ついでに言うならば、ザフトなどという名前の軍隊など存在しない」
「―――っ」
雷が落ちたかの様な衝撃がシンの体を疾走った。
ザフトが存在しない、そんな事がある訳がない。
嘘に決まっている、何を企んでいるのかは分からないが、そんな分かり易い嘘など子供でもつかない。
「嘘だというならコイツを使ってみろ」
千冬は取り調べ室の机にタブレット端末を置いた。
「そうか、手が使えないんだったな」
手錠の鍵を取り出し、千冬はシンの手錠を外しにかかる。
「言っておくが、変な気は起こさない事だ。私を人質にした所で状況はさして変わらない、お前なら分かるだろう」
いちいちもっともな事を言われ、シンは舌を打つ。
そう、人質を取ったところで施設の出口は分からない。そもそも、実力に勝る千冬を人質に取れる訳がない。
突発的、衝動的に人質を取るのはナンセンスだ。行動は常に計画的でなければならない。
カチャリ、と音がして手錠が外れた。シンは端末を手に取る。見た事のない端末だったが操作法はなんとなく分かるものだった。
どうせ履歴を確認されれば同じだろうからと、別段隠すことなく検索を開始する。
数分が経った。
「――――ッ!?」
何がどうなっている。シンは同様を隠しきれなかった。
プラント、ザフトはおろかスペースコロニーが存在しない。地球連合とザフトによる二度に渡るあの大戦もない。
全てがシンの理解を超えていた。悪い夢でも見ているのか、と頬を叩いてみたがちゃんと痛みがある。どうやら夢ではないらしい。
「情報の改竄はしていない。そこにある事は全て事実だ」
冷たく言い放たれる千冬の声で、ハッと正気に戻る。
「改めて聞こう。お前は何者だ」
何度とされた質問、しかし、もはやシンには沈黙を保つ事はおろか、なんと返事をしたら良いのかも分からなかった。
「―――俺にも分からない」
この時、シンは薄々と感じていた。
ここは何処なのだろう、と。
◇
あれから、しばらく時が経った。
私は再び、事務作業に追われている。
オルコットと一夏の模擬戦から始まり、無人IS
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