暁 〜小説投稿サイト〜
蒼穹を翔る運命の翼
PHASE-02 「現実」
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
カメラで確認していた姿とは大きく形を変えていた。
 無論、自爆をした訳だから形が変わるのは当たり前のことだ。
 だが、爆心地に残っていた残骸はおおよそ我々の想定とは違った形をしていたのだ。
 爆散した残骸は何ひとつなく、爆心地に残されていたのは、所属不明のIS――インフィニット・ストラトスだった。
 技研の調査によると、このISにはコアが搭載されておらず、高度なプロテクトの為に他は全く解析が出来ない状態との事だ。
 一応、外観と外装の調査結果は出ているが、背部に何らかのコネクターが存在し、装甲材は材質が分からない、という結果しか出ていない。
 技研としても、この様な正体不明のISの為に数の限られたコアを初期化して使用する訳にもいかず、お手上げ状態との事だ。
 そもそもコアを組み込むことが出来るか、それすらも分からないのだが。
 とはいえ、元々<打鉄弐式>の開発、さらには割り込みで<白式>に人員を割かれている中、これ程の調査をしてくれただけでも御の字なのだ。感謝はすれども文句は言えない。
 何もかも全てが不明の少年兵、その上あれだけ学園で暴れ回った奴だが、調査に立ち会った全ての人間、そして私自身も奴を悪人とは思えなかった。
 もしかしたら、奴も何かの被害者なのではないか……、そう思わせる何かを感じさせるのだ。
「なかなかどうして、私に興味を持たせる奴だな」
 そんな事を感じながら私は、報告書の作成を続けた。



  ◇



「単刀直入に聞く、ザフトとはなんだ」
 倉持技研に護送されて数日、何度目かも分からない尋問だが、その日は普段とは勝手が違っていた。
 今までは装備の入手方法、それと任務ついての質問ばかりである中、初めて所属組織についての質問である。その上、内容が余りにも珍妙であった為、シンはいささか混乱した。
「何を聞いてんだよ。今どき子どもでも知ってる事だぜ、それ」
 やれやれ、と呆れてしまう。
 両腕は後ろで手錠をされている為、座らされたパイプ椅子にふてぶてしく座ってみせた。
「それを誰も知らないから、わざわざ質問をしている。下がってくれ、後は私がやろう」
 正面に見える取り調べ室のドアが開き、女がそう言いながら入室してくる。
 先ほどまで質問をしていた男が入れ替わりに部屋を出た。
「―――アンタは」
 シンは眼つきを鋭くする。この女を彼が忘れる訳もない。
「しばらくだな。確か……シン・アスカといったか。私は織斑千冬という」
 織斑千冬と名乗った女性を相手にし、シンは座り方を正した
 無論、敬っての訳ではない。この女の実力をシンはよく知っている。無意識の内に体が防衛行動を取ったのだ。
「それではアスカ、質問に答えてもらう。ザフトとは何なのだ」
「同じことを二回も言いたくないです
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ