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ボロボロの使い魔
『彼』
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学園の庭にて
一人の少女が繕い物をしている
彼女はこの学園で働く使用人の一人
ギーシュに絡まれルイズに助けられた平民の使用人

彼等の『決闘』を少女は見ていない
貴族達の『娯楽』に『平民』である自分が混ざり見学するなど許されることではなかったから

なので少女は橘の『変身』も見ていない
どのような形で『決闘』に決着がついたのかも知り得ない

だが、少なくともルイズが、そしてその使い魔の人が自分を助けてくれた事は代わりない
だから、こうして僅な休憩時間を削ってボロボロになった橘の服を修繕している

カメンライダー

その言葉と僅な噂だけは少女も耳にしたがそれ以上の話は知り得なかった

平民が貴族を魔法でない力で圧倒した

そんな絵空事を信じてはいない
そのような話を信じるには、彼女の生活は平凡すぎた



平凡で平穏な庶民として生きていた少女
故郷から旅立ち
家族を養う助けとなるべく仕事を探していた
そこで出会ったオスマンと『彼』
二人との出会いは人生の転機だった




初めは不安があった
良く知りもしない、言葉さえ通じない男と一つ屋根の下で暮らすのだから
年若い乙女であれば抵抗感も人一倍だ
だが、それで断るにはオスマンの、提示した金額はあまりにも魅力的すぎた

そして始まった『彼』との生活
毎日、毎日、身の回りの世話をし、根気よく言葉を一つづつ理解させ、文字を書かせる
まるで、小さい弟が出来たような感覚は『彼』が言葉を覚えて意志疎通が出来る頃には、少し形を変えていた

普通に会話が出来るようになっても『彼』は自分の事を多くは語ろうとはしなかった
オスマンからも『彼』から深入りした話はするなと厳命されていた
だから、少女はただ『彼』の世話をして
『彼』とのまるでおままごとみたいな生活を楽しんでいた
少なくない日数を共に過ごすうちに『彼』の人柄に心を惹かれている自覚はあったのだ

だけど、自分はあくまで『彼』の世話係だからと押さえていた感情は
ある日、夕食の食材を購入し、帰った日に少し弾ける事になった

晩御飯の買い物を終え家に帰った自分が見た光景、それは

なんと、褐色肌で肉感的な女性が半裸で『彼』に迫っていたのだ

…あの日の事を思い出す度に…!

「…ぁ」

いけないいけない、力が入りすぎて失敗した
手順を戻してやり直す

結局『彼』が抵抗したこともあり、最悪の事態は未然に防ぐ事ができたが
その日以来、自分と『彼』の部屋に彼女が事ある毎に入り浸るようになってしまった

彼女とはどういう関係なのか、どういう経緯で知り合ったのか
厳しく問い詰めても『彼』ははぐらかすばかりで
彼女に聞けば『二人の秘密♪』などと
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