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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十六話 遺書と墓碑銘
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督が頷くと元帥も大きく頷いた。
「分かった。ハイネセン奪還作戦を実行しよう」
シトレ元帥の言葉に艦橋が三度どよめいた。
『宜しくお願いします。それとトリューニヒト議長を始め最高評議会の方々には地上制圧戦に参加して頂きます』
おいおい本気か? 皆目が点になってるぞ。
『作戦実施までに装甲服に慣れておいてください。制圧目標は最高評議会ビルです。反逆者達に占拠された最高評議会ビルを奪回して貰います』
「ちょっと待ってくれ、本気かね、君は」
政治家が一人慌てた声を出した。
『本気ですよ、レベロ財政委員長。このままでは最高評議会はハイネセンの市民を見捨てて逃げた等と言われかねません。それでは困るのです』
ウーンという声が彼方此方から聞こえた。
『皆さんにハイネセンを脱出してもらったのは人質にされるのを防ぐため、愛国委員会にクーデターが失敗した事を理解させるためです。兵に戦えと言うのではなく兵と共に戦って下さい。そうでなければトリューニヒト政権は市民の支持を集められません』
その通りだ、ヴァレンシュタイン提督の言葉は間違っていない。
「楽は出来んな」
トリューニヒト議長が肩を竦めた。
「やるのかね」
「ここまで来たらやらざるを得んだろう。それとも逃げるかね?」
「……やれやれだな」
議長とターレル副議長が話している。他の委員長達もやれやれといった表情だ。ヴァレンシュタイン提督が笑い出した。
『悪い事ばかりじゃありません。メリットも十分に有ります。生き残れれば向こう十年は選挙で落選する心配は無いでしょう。大量得票で当選です。選挙で落選の心配が無いというのは大きいと思いますよ』
「生き残れればね。死んだらどうなるのかな?」
マクワイヤー天然資源委員長が不安そうな表情でヴァレンシュタイン提督に問い掛けた。気楽な事を言うな、そんな感じだ。
『アーレ・ハイネセン程じゃありませんが立派な銅像が立ちますよ。自由と民主共和制を守るために倒れた勇気ある政治家として。自由惑星同盟で歴史上もっとも有名な政治家の一人に選ばれるでしょうしテレビドラマや映画にも登場します。主人公かそれに次ぐ立場ですね。このまま何事もなく生きているよりも有名になれるかもしれません、悪くないでしょう』
マクワイヤー委員長が溜息を吐いた。
「そういう意味じゃないんだが……」
気持ちは分かる、滅茶苦茶だ。死んだ方が評価が高くなると言っているに等しい。皆呆れた様な顔をしている。ワイドボーン提督は天を仰いだ。
『ああ、葬儀の事なら心配は要りません。国葬になります。葬儀委員長はトリューニヒト議長が務める事になるでしょう。閣下を悼む感動的な弔辞を読み上げてくれると思います。それと棺は議長を始め最高評議会の方々が担いでくれます。あとは何か有るかな……
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