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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十六話 遺書と墓碑銘
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も頷いている。
『それと各星系、自治体、軍組織に旗幟を明らかにするように命じてください。そして愛国委員会に味方する勢力は決して許さないと言って欲しいのです』
「愛国委員会を孤立させるのだね」
『それも有りますが議長閣下に味方するという事は和平を支持するという事です。後々和平を推進する時には皆が和平を支持してくれたと言う事が出来ます』
“君は相変わらず抜け目がないね”とトリューニヒト議長が笑い出した。シトレ元帥も笑っている。上層部では帝国との和平は既定路線らしい、本当に宇宙が平和になる時が近付いている。それにしてもヴァレンシュタイン提督が和平派の中心人物という噂は本当のようだ。提督は薄く笑みを浮かべている。いかにも謀将、そんな感じだ。
『ハイネセンは第一、第三艦隊で解放します』
彼方此方で驚きの声が上がった。
「君達を待たずにかね?」
ヴァレンシュタイン提督が“そうです”と頷いた。
『元帥、我々が合流するのを待っていては時間がかかります。ハイネセンの市民に負担をかける事になるでしょう。クーデターは早期に鎮圧しなければなりません。そうでなければ政府、軍に対してハイネセンの市民から不満が噴出するでしょう』
シトレ元帥が難しい顔をしている。
「貴官の言う事は分かる、その理が正しい事も認める。しかし二個艦隊ではアルテミスの首飾りは攻略出来んだろう。せめて第十二艦隊を待つべきではないかな。失敗すればそれこそ主戦派を勢い付かせることになる」
シトレ元帥の言葉に皆が頷いた。
『戦力が大きくなれば、愛国委員会は当然ですが警戒します。時が経てばそれだけ防衛体制を整える事になる。場合によっては市民を人質に取る可能性も出て来るでしょう。この時期に二個艦隊ならばそこまでは警戒しませんし準備も出来ません。まして艦隊司令官は二人とも新任の中将です、特にヤン中将は非常勤参謀とまで言われた人ですからね、愛国委員会が市民を人質に取る可能性は少ない。今攻略するべきです』
言っている事は分かる。確かにそうだがアルテミスの首飾りが有る……。誰もが不安そうな表情をしていた。
『ご安心ください、ハイネセン奪還作戦は既に策定済みです。ヤン中将がアルテミスの首飾り攻略を、ワイドボーン提督がハイネセン制圧戦を行う事になります。元帥閣下は作戦の総指揮をお執り下さい』
どよめきが起きた。皆が驚いている、いや、ワイドボーン提督だけは驚いていない。知っていたな、これは。まあ当然か。
「可能なのかね、アルテミスの首飾りを攻略する事が」
元帥が問い掛けるとヴァレンシュタイン提督が軽く笑い声を上げた。
『ヤン中将はエル・ファシルの英雄です。彼の前ではアルテミスの首飾りは脅威になりません』
またどよめきが起きた。シトレ元帥がワイドボーン提督に視線を向けた。提
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