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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百十六話 遺書と墓碑銘
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れ以上の持て成しは無いよ、そうだろう?」
議長が問い掛けると同意を表す声が彼方此方から上がった。流石に商船での脱出は不安だったらしい。
ワイドボーン提督が総司令部との間に通信を開くように命じた。少しの間が有ってスクリーンにヴァレンシュタイン総司令官代理が映った。ワイドボーン提督が敬礼すると総司令官代理も答礼した。
「トリューニヒト議長閣下、シトレ元帥閣下を含む政府、軍の方々を無事収容しました」
『御苦労様でした。何か問題は有りますか?』
「いえ、特に有りません」
『では早急に第三艦隊と合流して下さい』
「はっ」
総司令官代理が頷いた。そしてシトレ元帥とトリューニヒト議長と話したいと要求した。俺より若いんだが平然としているな。
「何かな、ヴァレンシュタイン中将」
『御身体の具合は如何ですか、シトレ元帥』
「問題は無い。心配してくれるのかね、中将」
嬉しそうにシトレ元帥が言うと総司令官代理が苦笑を浮かべた。
『そうじゃありません。仕事が出来るか確認させて貰ったのです』
げっ、何て事を言うんだろう。シトレ元帥とトリューニヒト議長が顔を見合わせて苦笑している。ワイドボーン提督は目を剥いているし俺もびっくりだ。
『総司令官閣下、お預かりしていた指揮権をお返しします』
「なるほど、それが有ったな。確かに指揮権を受け取った」
総司令官代理が敬礼するとシトレ元帥が答礼した。
『早速ですがお二人にはやって頂きたい事が有ります』
「やれやれ人使いが荒いな、ようやく落ち着けると思ったのに」
トリューニヒト議長がぼやいたが総司令官代理、いやヴァレンシュタイン提督は意に介さなかった。
『先ず政府、軍首脳部が第一艦隊と合流した事、指揮権が私からシトレ元帥に返還されたことを表明してください』
提督の言葉に“分かった”とシトレ元帥が頷いた。
『次にお二人には広域通信で健在ぶりをアピールしてもらいます。その際トリューニヒト議長閣下には愛国委員会がルドルフ・フォン・ゴールデンバウムの出来の悪いコピーであり民主共和制の精神を汚すものだと激しく弾劾してください』
「うむ」
『長い戦争が人心を荒ませこのような愚かしい人間を作り出してしまった。自由惑星同盟は、いえ人類は和平による安息を必要としている。自分は最高評議会議長として必ず彼らを粉砕し秩序と安定を取り戻すだろうと宣言して頂きます』
トリューニヒト議長が大きく頷いた。
「その事は私も考えていた。和平を実現するには市民にその必要性を理解させなければならない。今回の一件で同盟市民も戦争継続には大いに疑問を抱くだろう。クーデターが成功すれば民主共和制は廃止されるところだったのだからね。同盟市民に和平の必要性を理解させる良い機会だ」
あ、議長だけじゃない。他の政治家達
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