第5章 契約
第88話 カトレア
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前も教えられていないけど。そう、白虎はお気楽な言葉使いで答えた。
いや、本人はもしかすると真面目に答えた心算かも知れませんが、どうにも関西弁風に聞こえるこの儲けの悪い詐欺師のような言葉使いでは、少しくだけた物言いに聞こえて仕舞う、と言う事なのですが。
もっとも、彼女の話して居る言語はハルケギニアのガリア共通語のはずなので、そのガリア共通語の中の何処か特殊な地方の方言を、俺の脳が自動翻訳技能を使って関西弁風の言葉として認識している、と言うだけの事だと思うのですけどね。
ただ……。
成るほど、白虎の師匠か。これは、ガリアに直接関係しているかどうかはさて置き、ハルケギニア世界自体には何らかの神仙が絡んで来て居るのは間違いないでしょう。白虎のような霊格の高い神獣を乗騎に出来る存在だとすると、相手は俺クラスの地仙などではなく、間違いなく天仙クラス。神と呼ばれる連中と互角の連中。
こんなヤツが絡んで来て居るとすると、このハルケギニア世界には……。
偶然、俺のように次元孔に落ち込んだ仙人が昔この国、もしくは世界に住んで居たなどと言う甘い話でない可能性の方が高い……でしょうねぇ。
「私は、気付いた時には炎の精霊を統べる存在としてこの世界に存在していた。ガリア王国との盟約も既にその時には交わされていたから、その始まりの詳しい部分に関しては知らない」
白虎の答えの後に続いて、崇拝される者ブリギッドもそう答える。
確かに、精霊の誕生に付いては諸説ありますが、少なくとも、両親の元に誕生する精霊と言う者は殆んど存在して居ないはずでしたか。基本的には自然の気が凝り固まって、それに意識が芽生えた存在が精霊と成る者です。
故に、ブリギッドの言うような事が起こり得るのですが……。
沈思黙考。状況が動きつつあるので、ここでのウカツな対応は、後に禍を為す可能性も有り。そう考えて、少し思考の整理を行う俺。
しかし、その間隙を縫うかのように――
「あ、あの騎士従者さま、私には何が起きて居るのかさっぱり分からないのですが……」
この部屋に案内して来た張本人。しかし、猫がいきなり話し掛けて来るような異常事態に対処出来る術を持たない一般人で有る村長さんが、少しの空白を突いて自己主張を開始する。
但し、これは明らかに及び腰。素直に、ここで起きた事はすべて忘れるから、出来るだけ早い内にこの異常な空間から解放してくれ、と目が訴え掛けています。
その証拠に、彼は未だ、俺の事を騎士従者さまと呼び掛けて来ました。
流石に、リュティスからかなり離れたこの地ですが、ドーファン・ド・ガリアの称号が意味するトコロは知って居るはずです。まして、俺自身も、ガリア王家に近い血縁の象徴。蒼い髪の毛と蒼い瞳を始めから隠そうとはして居ません。しか
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