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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第88話 カトレア
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って居た俺。
 しかし……。

 それまでザワザワとした雰囲気ながらも、俺の言葉を一言一句、聞き逃さないようにしていた住民たちの間に、何か得体の知れない感覚が走った。
 うん? これは……畏れ?

「騎士従者様。その鏡に映らないタイプの吸血鬼の犠牲者と言うのは……」


☆★☆★☆


「その若い女性が倒れて居たのは昨日の朝で、蒼穹には太陽が昇っていたのですね?」

 流石に火竜山脈と言う、俺の常識の向こう側に存在していた暑い山脈の麓に有る村でも、ここは村長宅。そして、緯度から言うとここは日本の北海道と同じレベル。
 暖流の影響からなのか、もしくは火竜山脈の影響か。これまでは積雪が数メートルにも及ぶような地域ではなかったようなのですが、それでも家屋は気密性に優れた北国仕様の家屋。ましてここは内陸部の村。

 つまり、何が言いたいかと言うと、この廊下は暗い。昼間からこの暗さ。まして、村長宅とは言え、流石に田舎町の魔法に関係ない平民の村長宅故に魔法のランプなど存在しない。よって、清教徒革命当時なら至極一般的なランプに灯りを点して進む俺たち一同。
 矢張り、電灯。エジソンが発明する前に、このガリアでは電気による明かりを一般に普及させるべきなのでしょう。

 ……などと、所詮はガリアの為政者の影武者に過ぎない俺が、柄にもなく真っ当な事を考えながら、それでも表面上は脇道に逸れる事もなく村長さんにそう問いかけた。

「はい。一昨日の晩は静かな晩で、強い風が吹く訳でもなく、まして、森で獣が騒ぐ事もない夜だったのですが……」

 その静かな夜が明けた朝。森の入り口辺りに、その若い女性は倒れて居たのです。
 そう村長さんはあらましを語った。

 成るほど。そう言えば、報告書の中にも、そして、先ほど村人が一同に集まった際にも挙がって居た証言の中に、被害者が出る夜には森が騒ぐ、と言う証言が有りましたか。
 イザベラから渡された分厚い書類にざっと目を通した時に、少し気に成って居た部分を思い出す俺。
 その時、
 村長さんが廊下の突き当たりに有る扉の前に立ち止まる。

 そうして、

「綺麗なお嬢さんで、しかも、身形から貴族じゃないかと思い、我が家で預かる事と成ったのですが、それからずっと眠り続けて居るのです」

 ……そう言いながら、その木製の扉を押し開いた。
 その瞬間、微かな違和感が発生。これは、何らかの境界線を越えた瞬間に発生する違和感。
 但し、危険な物とは感じない。おそらくこれは一種の聖域を作り出す魔法。

 しかし、そんな物を感じる事がないのか、白髪白髭の村長さんは、その生活に疲れた老人の如き表情をこちらに向け、

「それでも、昨日は今朝のように晴れていた訳ではないので……」

 そ
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