第三章
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第三章
「俺達の国の料理にしよう」
「そういえばチャコラーンの食べるものってな」
「味気ない、タイ料理でも何でもないしな」
「ただ健康の為だけの料理だからな」
その味付けは少しの塩と酢だけのものであったのだ。食べても美味くとも何ともない、そうした栄養だけを考えての料理だったのである。
それと違いだ。ここはタイ料理だったのである。
「だからここはな」
「けれどよ。我が国の料理って香辛料使うぞ」
「唐辛子な」
「赤も青もな」
周りはそれを気にして話すのだった。
「かなり使うぞ」
「チャコラーンは香辛料は」
「いや、いい」
チャコラーン自身が言ってきた。
「どうせならここは」
「いいのか」
「それは」
「ああ、いい」
また言う彼だった。
「このままじゃ何をやっても駄目だしな」
「だから香辛料もいいんだな」
「唐辛子も」
「刺激のあるものは避けてきたがな」
これも体調を考えてのことであった。とにかくそうしたことに過敏なまでに気をつけているのが彼だったのだ。ところがなのであった。
今はだ。己の不調を気にかけてだ。とにかく何でもしようという気になっていた。だからそれもいいというのであった。それでだった。
「今はな」
「わかった、じゃあな」
「タイ料理な」
「もう辛さも気にせずに徹底的に食おうな」
「ここはな」
「そうさせてもらう」
こうしてだ。彼はそのタイ料理を食べるのだった。
赤いゲーンペットはアヒルの肉である。そして米の麺のパッタイ、ソーセージであるネームに魚料理のプラーサムロッ、タイスキにパパイヤを入れたサラダであるソムタム、それとデザートは果物であった。そうしたものがテーブルの上に並べられていた。
「赤いな」
「それか青いな」
皆その料理を見て口々に言う。
「唐辛子の色だな」
「だがこれがいいんだよな」
「タイ料理だからな」
「やっぱりこれだよな」
皆笑顔で話す。タイ人だけあってその唐辛子の色を見てえも言われぬ食欲を感じていた。その中での言葉をだ。口に出すのであった。
そしてだ。それぞれ箸やスプーンを手に取ってだ。
「それじゃあな」
「食うか」
「そうするか」
「そうだな」
そしてだ。チャクラーンも言うのだった。
「今からな」
「あんたタイ料理食うの久し振りだったよな」
「そうだったよな」
「選手になってからはな」
それから結構経つ。そこからだというのだ。
「なかったな」
「やっぱりそうか」
「そうだったんだな」
「ずっと塩と酢だけの料理だった」
その味気ない料理だけを食べてきたというのだ。
「本当にな」
「こんな赤や緑の料理はなかったんだな」
「何度聞いても凄い話だな」
「何年ぶりか」
そのタイ料理
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