第二章
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第二章
しかもであった。それは。
「いつも思うがタイ料理じゃないな」
「っていうか簡単に味付けしたものじゃないか」
「こんなの食べて美味いか?」
「いいのかよ」
「俺はスポーツ選手だからな」
それでいいというのである。
「それで味とか求めてもな」
「じゃああれかよ。この食事は」
「ただの栄養補給だっていうのか」
「それだけかよ」
「そうだよ。それでいいんだよ」
これがチャコラーンの言葉だった。
「万全のコンディションにするものだからな」
「そんなものか?」
「それでいいのか」
「いいんだよ。じゃあな」
こう言ってだった。彼はだった。
その簡素な、味気のない食事を採るのだった。それが彼だった。
彼は健康にも食事にも気を使い続けていた。無論練習にもだ。しかし調子はあがらない。成績は下降する一方だった。
それでだ。彼は余計に叩かれるのだった。
「限界じゃないのか?」
「劣化してるな」
「動きに覇気もないしな」
「もう駄目だろ」
「引退だろ」
こうマスコミもファン達も話すのだった。
「あれじゃあな」
「もうどうしようもないな」
「引退した方がいいな」
「絶対にな」
こう話していくのだった。だが。
彼はそのつもりはなかった。自分ではまだやれると思っていた。それで相変わらず練習も健康管理も真面目にしていた。しかしそれでもだった。
復活しない。それでだった。また周囲に話すのだった。
「本当に原因がわからないんだよ」
「どうしてもか」
「それがか」
「ああ、どうなってるんだ」
思い詰めた顔での言葉だった。
「この状況はな」
「原因不明の不調だな」
「何をやっても駄目か」
「どうしてだろうな」
「これは」
周りも困り果てた顔で考えていく。しかしだった。
ここでだ。一人が言うのであった。
「気分転換をしてみないか?」
「気分転換?」
「それか?」
「美味いものを食おう」
これが彼の言葉だった。
「ここはな」
「美味いものをか」
「それか」
「ああ、チャコラーンもそれでどうだ?」
彼はチャコラーン本人にもそれを尋ねた。
「美味いものを食うか?」
「そうだな」
あまりにも思い詰めて悩んでいたからだ。普段は決してそうした誘いにも乗らない彼もだ。ここは頷くのだった。そうしてだった。
「じゃあな」
「ああ、それじゃあ行くか」
「それでどの料理なんだ?」
「どの料理にするんだ?」
「タイ料理にするか」
これが彼の言葉だった。
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