閑話ー聖槍と聖剣の英雄ー
70.剣技連携
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長細い氷柱で作られた檻。
そこに倒れているのは人。
肌は、粉雪のように白い。流れる髪はブラウン・ゴールド。胸部がボリュームは、言ってはいけないがこの場の五人を圧倒している女性プレーヤー。
「お願い……。私を……ここから、だして…………」
ふらり、と氷の檻に吸い寄せられる刀使いの、後ろ頭から垂れるバンダナの尻尾をキリトが掴み、さらに俺が頭を掴み地面に叩きつけた。
「罠だ」
「罠よ」
「罠だね」
「罠だろ」
キリト、シノン、リズの後に俺は声を出す。
倒れた身体を起こしながらがっかりしたような表情で頭を掻いた。
「お、おう……罠、だよな。……罠、かな?」
往生際の悪いクラインに、キリトがユイに訊ねる。
「NPCです。ウルズさんと同じく、言語エンジンモジュールに接続しています。ですが、一点だけ違いが。この人は、HPゲージがイネーブルです」
つまり通常のNPCならば攻撃しようとダメージ判定はされず、ダメージも受けない。だが、護衛クエストならそれは別だが、この場で考えられる最悪の場合は……
「罠だよ」
「罠ですね」
「罠だと思う」
アスナ、シリカ、リーファも口を揃える。
複雑な表情で固まるクラインの肩をキリトが叩き、やや早口で言った。
「もちろん罠じゃないかもしれないけど、今はトライ&エラーしてる余裕はないんだ。一秒でも早く、スリュムの所まで辿り着かないと」
「お……おう、うむ、まあ、そうだよな、うん」
クラインが檻から視線を外し、奥の階段に数歩向かったとき、再び声がする。
「……お願い……誰か…………」
ここで彼女を助ければ、護衛任務もしくは、大詰めで裏切られる。そのどちらにしても俺たちのリスクでしかない。通常のクエスト中ならリスクを背負うのも苦ではないが、今は少し状況が違う。
それでもクラインは突如として足を止めて両手で刀を握りしめて低い声が押し出される。
「……罠だよな。罠だ、解ってる。ーーでも、罠でもよ。罠だと解っていてもよ……」
そこまでの言葉を聞いて止める気にはならなかった。
「テメェが助けてぇならそうしろよな。一人や二人増えようが対したことねぇだろ? なっ、みんな」
女性陣の顔を見るが呆れたというような顔を俺とクラインを見ている。キリトは、呆れたという顔と好きにしろという顔が入り混じったような顔をしていた。
「ありがとよ、シュウ! この恩は、いつか返すぜ!」
クラインは勢い良く振り向き、氷の檻へと駆け戻って行った。
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