弄ばれた2つの心
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一応言っておくが・・・俺が聞きたいのは、仲間としての感情じゃない」
「!」
「俺を・・・男として、どう思っているかが聞きたいんだ」
「っ!」
ドキン!と、ジュビアのハートが大きく鳴り響く。
(準備はしてないけど・・・構わない!今こそグレイ様にジュビアの熱い想いを伝える時!)
ぐっと拳を握りしめ、ジュビアは1人意気込む。
数回深呼吸を繰り返し、ジュビアは口を開いた。
「ジュビア・・・グレイ様が好きなんです!大好きなんです!ずっと一緒にいたいですっ!」
溢れる思いを真っ直ぐに伝える。
そぅっと顔を上げると、グレイが照れくさそうに頬を掻いているのが見えた。
小さく目線が逸らされたのにジュビアが気づいたのと同時に、声が響く。
「ジュビア・・・」
「は、はいっ!」
気のせいか、その声には甘さが含まれている。
頬がゆっくりと赤く染まり、ジュビアの心が期待に揺れた。
そして―――――グレイは、告げる。
「俺もジュビアが好きだ。告白の直後に言うのもどうかと思うが・・・結婚、しよう」
一瞬、ジュビアは自分の耳がおかしくなったのかと思った。
だが、じわじわとその言葉の意味が耳から脳へと伝わり、ジュビアは完全に理解する。
「ジュビア?」
こてり、とグレイが首を傾げる。
(い・・・今っ!グレイ様がっ!ジュビアを好きだって!け・・・けけけ結婚しようって!ジュビア嬉しすぎて倒れそう!ティアさん!助けたら真っ先に教えますっ!)
どうやらティアの事もしっかり覚えていたようだ(当然だが)。
喜びに震えながら、ジュビアはグレイに目を向ける。
表情は解らないが、その周りの雰囲気は優しげだった。
「おいで、ジュビア・・・抱きしめても、いいか?」
「はううっ!」
妄想が現実に!
誰もいなければ飛び跳ねていただろう。
小さく両腕を広げているグレイが、今目の前にいる。
それだけでジュビアの目に映る世界は先ほどまでよりも鮮やかに色付いていく。
「はいっ!ジュビアも抱きしめられたいです!」
「そうか・・・おいで」
「はい!」
スキップするようにジュビアはグレイへと駆けていく。
「グレイ様〜!」
あと少し、あと1歩。
そしてジュビアがグレイの胸に飛び込もうとした、瞬間――――――
「・・・え?」
ジュビアの体に、手が突っ込まれた。
誰の?――――――グレイの、だ。
思わず、ジュビアの顔から笑顔が消える。
「グレイ、様?」
不思議そうに首を傾げ――――気づく。
目の前に立つグレイは、確かに黒髪だった。
髪型も似ているし、声も似ているし、背格好も似ている。
だが―――――違う
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