弄ばれた2つの心
[3/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、気のせ―――――――むぐっ」
「探そうよ」
「ん?」
気のせいだったかも、と言いかけたルーシィの口を左手で塞ぎ、ルーが口を開く。
間が1段となった今、ルーシィの顔を覗き込めるほど2人の背に差はない。
だが、普段なら合うはずのない2人の目が、真っ直ぐに合っている。
いつもなら、ルーシィが小さく見上げるかルーが小さく見下ろすかしなければいけないのに、今はその必要がない。
「聞こえたんでしょ?お母さんの声が。だったら、探そうよ」
「ブー?」
「確かに僕達はティアを助けに来たけどさ、もう2度と会えない人がここにいる可能性が少しでもあるなら・・・その可能性に賭けようよ」
ルーの目は、真っ直ぐだった。
どこまでも純粋で、どこまでも幼くて―――――どこまでも、真剣で。
「・・・信じようよ、ここにいるって」
自分も突然両親と村の人達を失っているから。
だから、ルーは誰よりも知っている。
突然大好きだった人が死んだ時の辛さや、あの時もっと会話していればという、どうしようもない後悔、自分の弱さに対する怒り。
「僕は賭けたいよ。もし、ここに父さんや母さんがいる可能性があるなら、少しでも会いたいよ」
皮肉にも、息子の9歳の誕生日の前日に命を落とした2人。
皮肉にも、自分の9歳の誕生日に両親の死亡を知ったルー。
話したい事がこの10年で山の様にあって、紹介したい仲間がこの10年で沢山出来て―――――全てを伝えるほどの時間を、神様がくれなかったとしても、会いたいのだ。
ルーにとっては、両親なのだから。
「ルーシィは?お母さんに、会いたくない?」
小さく首を傾げて、ルーが左手を離す。
奥まで見えそうなほどに透き通っていながら、その瞳の奥に映るものは全く見えないルーの黒い目が真っ直ぐにルーシィを見つめる。
「・・・会いたいよ」
その目の前では、嘘なんてつけない気がした。
嘘をついても、全てが見透かされそうな気がした。
だから、という訳ではないけれど、ルーシィは正直に呟く。
「あたしだって、ママに会いたいよ」
「だったら探そうよ。僕も手伝うから、ね?」
「・・・うん」
普段は自分より年下にしか見えないのに。
どう考えたって、頼りがいのたの字もないのに。
―――――ルーシィの考えている事を、ルーは全て見透かす。
そして、太陽の光のように、温かく優しく導いて、最善の策を選択させる。
「この塔・・・結構入り組んでる・・・」
見た目1、中身13の塔の1つにいるジュビアは、辺りをきょろきょろ見回し警戒しながら1歩ずつ慎重に足を進めていた。
「ああ・・・ジュビア、グレイ様と一緒に行動したか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ