暁 〜小説投稿サイト〜
セニョール
第六章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初

「これでお別れじゃないよ!」6
 すぐにこう返すサンターナだった。
「また会えるよ!」
「また?」
「嘘だろ、それは」
「またって」
「あんた引退するのに」
「確かに僕は引退するけれど」
 それでもだというのだ。
「それでもね。僕は」
「僕は?」
「あんたは?」
「僕はずっと野球とこのチームが好きだから」
 それが彼の言う理由だった。
「だからずまた会えるよ」
「会えるんだ、また」
「またあんたと」
「あんたと会えるんだ」
「そうだよ。だからお別れじゃないよ」
 こうファン達に話してだった。そのうえで。
 グラウンドでナイン達の胴上げを受け。満面の笑みでまた言ったのだった。
「また会おうね!」
「ああ、またな!」
「また会おうな!」
 誰もが花束を持ち手を振るサンターナに満面の笑顔で応える。誰が笑顔の引退セレモニーだった。
 それが終わってからだった。彼は。
 メキシコ球界でコーチを経てだ。そして。
「戻って来たよ!」
「ああ、お帰り!」
「待ってたからな!」
 そのチームにコーチとして戻ったのだ。秋のキャンプに早速来た彼をナイン達もファン達も笑顔で迎える。彼は約束通り戻ってきた。そして愛する野球を愛するチームで行うのだった。それが彼の幸せだった。


セニョール   完


                 2011・1・30

[8]前話 [9] 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ