怪異の巣窟 中編
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「いかん、俺はあの日記…じゃなくて、ノートに呪われちまったのか?」
俺は隠し部屋を造る際に、それに通じる隠し通路もいくつか建設した。先述した消火栓扉もだが、校舎の中で近道出来る様に掃除用具入れの裏とか、ダストシュートの中にも作ってある。更には海に囲まれた孤島に校舎が存在するから、海原に直接出れる非常口も造ってある。これ以外にも、状況に応じて増設する予定だ。
まぁ、とにかくだ。例の日記…もといノートの持ち主である恐怖の大魔王が帰ってくる前に隠し通路の一つがあるトイレ前に来たんだが……
「……うみゅう…」
―――“クマ”がトイレの前で寝息を立ててるんですが、どういうことでしょうか…?
いや正確に言うなればクマの着ぐるみを着た誰かのようだ。この俺以外にIS学園に忍び込んだ侵入者が居たとでも言うのだろうか…?それとも、生徒の誰かが真夜中にトイレに起きてそのまま力尽きて眠っちまったのか…?
「色々とツッコミどころ満載だが…取りあえず、そこに居られると邪魔なんだよ…」
女子トイレの…女子校だから女子トイレしか無えけど、その入り口手前にある鏡の裏にあるんだよ。帰り道の通路が。織斑千冬の部屋から一番近かったのがココなので選んだのに、マジでなんてこったい。
俺は当分この学園に潜み続けなければならない。故に、俺がここに居るという痕跡は何一つ残してはならない。指紋、髪の毛、記憶、記録…何も残してはならない。
「…仕方ない、他の所に行くか」
今は深夜だ。そこに転がっているクマ子を起こさないように鏡の奥にある扉を開くより、人の気配が殆どない校舎を移動して別の通路の所に行く方が楽だろう。
「……あばよ、夜のクマさん…」
そう一言呟いて、セイスはそこから静かに立ち去って行った…
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ちょっと待てや、オイ…」
トイレ前の通路は諦め、掃除用具入れにある通路を使う為、1年生の教室へ向かったセイスだったが、彼は再び困惑していた。何故なら…
「何でまた居るんだよ…!?」
―――さっきのクマさんが、今度は廊下で立ち寝入りかましていたのである…
廊下の真ん中でユラユラ揺れているが、こっちに来る気配は辛うじて無い。誰かの気配がしたので、廊下の端から窺うようにして覘いてみたらそんな、ホラー風の光景が目に入ってしまった。そして、さっきと違って立ち寝入りしているため、今回は顔を覘くことができた。その顔を見て、彼はクマの正体にようやく気付いた。
「…ありゃあ、
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