怪異の巣窟 中編
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『布仏本音』じゃねぇか」
殆どの女子が織斑一夏を『学園唯一の異性』として扱う中、微妙に違ったベクトルであの野郎に接している変わった奴である。確か、『のほほん』さんとか呼ばれていた筈だ。
裾の長い制服、着ぐるみのようなパジャマや私服、ほんわかなオーラ。まるで何かのマスコットでも目指しているのか?と思わざるを得ない存在だが、その癒し系な雰囲気とは裏腹に、彼女はとんでもない家柄の人間である。
「……まさか、バレたのか…?」
布仏はこの国の暗部『更識』に代々仕える裏世界の家系だ。となれば自分の存在に気付き、捕らえるために通路へ先回りしても何ら不思議では無い。
一応、織斑千冬や更識の人間と同じくらいに警戒していたのだが、まさかこんな早くに発覚するとは夢にも思わず、彼は頭をフル回転させて打開策を模索した。
「……むにゃ…」
「ん?」
「……お姉ちゃん…も…う……勘弁…してぇ……すぅ…」
「え、何? マジで寝ぼけてココに来たわけ…?」
だとしたら、本当にどんだけだ…。無意識で俺の造った隠し通路前に来た上に、最短距離で向かった筈の俺より先に居るとか何なんだよ…!?
「……まぁいい、露見してないに過ぎたことは無い。早く帰ろう…」
流石にそろそろ飲み会に行った職員たちが帰ってくる頃だ、もたもたしてると危険が増える。時間を気にしつつ、そして立ち寝入りを続ける布仏本音を気にしながら、再びセイスは走り去っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「『二度あることは三度ある』って言葉を、ここまで実感したのは初めてだ…」
「……スー…スー…スー…」
寝ころび、立ち寝入りと来て、今度は体育座りですか……じゃ、無ぇよ…!!
「何でだ!?隠し通路に辿り着くだけならまだしも、並の人間じゃ追いつけないようなペースで向かった筈の俺より先に居るのは何でだ!?」
こっちは窓から飛び降りたり、隠し通路使って何度もショートカットした。しかも、わざわざ校舎から一番離れたアリーナに造った隠し通路にまで足を運んだのだ。にも関わらず先回りされいているって、寝相が悪いとか、寝ボケたとかで済む次元じゃないぞ!?
ていうか、流石にもう我慢の限界だ。もう時間に余裕は無いし、他の抜け道に向かう気力も無い。指紋が残らないように専用のグローブは着けている、監視カメラに映らぬようステルス装置は起動してある、顔は見られないように覆面とゴーグルは装着済み。
「よし…!!」
―――ザ・ミ
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