2部分:第二章
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第二章
その大人気の彼である。特撮を主に観ると言われている子供達からもだ。こんな有様であった。
「うわ、あいつが出たぞ!」
「悪い奴だ!さっさとやられちまえ!」
「ヒーローは御前なんかにやられないからな!」
「絶対に負けないからな!」
「最後に負けるのは御前なんだ!」
「御前みたいな奴はさっさとやられちまえ!」
こう声をかけてもらえる。そして時には足を蹴られたりだ。勝負しろと挑まれたりもしている。だがその子供達が数年後、そして大人になってからだ。こう彼に言ってくるのだ。
「サイン御願いします」
「握手して下さい」
「写真撮っていいですか?」
とにかくだ。彼はだ。人気があるのだった。子供達にとっては忘れられない人物になっていた。そうして本人はだ。こう言うのであった。
「やっぱり。この役はやっていていいよ。ずっと覚えてもらっていて。声をかけてもらえるからね」
だからいいというのである。そうして彼はだ。
ずっと特撮番組に出演し続けるのだった。それも悪役としてである。彼は永遠のスターでありヒーローだった。少なくとも子供達は大人になってからも彼のことを忘れず応援し続ける。そうした意味でだ。彼は紛れもなくヒーローであった。それが彼の誇りなのである。
悪の大幹部 完
2011・4・24
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