第四章
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第四章
「それではだ」
「はい、それでは」
「これからですね」
「統治をあらためることにする」
疲れた様子は消えていた。そのうえでの言葉だった。
「よいな、それでは」
「はい、では今よりですね」
「そうして」
「本当の意味でいい国にする」
もう美しい国とは言わなかった。そうしてだった。
あまりにも厳しい注意も刑罰もあららめられた。そして意固地なまでの清掃もなくなった。臣民達も貴族達もその服はいつも奇麗で整ったものでなければならないということもなくなった。それであった。
国はよくなった。多くの人間の顔に笑顔が戻ったのだ。
それを見てだ。王は言うのだった。
「人は美しさを求めるな」
「はい」
「それはその通りです」
家臣達もこのことは認めた。それは事実だった。
「しかしそれでもです」
「それだけでは駄目なのです」
「余裕か」
王は言った。
「ゆとりとも言うな」
「はい、それです」
「それが必要なのです」
「人には」
「そういうことだな。そしてそれは」
王の言葉は続く、今度はこう言うのであった。
「国家についてもだな」
「その通りです」
「では陛下」
「これからは」
「美しさよりもさらに大事なものを求める」
彼は言った。
「それは人が笑顔で暮らせる社会だ」
「それをですね」
「それを求められるのですね」
「美しさは忘れないが」
これは忘れないとした。彼も考えている。
「だがそれ以上にだ」
「余裕がありそして」
「人がその中で暮らせる社会をですね」
「目指されるというのですね」
「そうしていこう。これからはだ」
実際に今はそうしているがこれからもだと言うのである。王は決めていた。
そしてその決意の下政治を行いだった。国は本当の意味でよくなっていったのだった。
人も国も美だけ、豊だけでは駄目である。そこには他のものも必要である。それが何かということをだ。この王は学んだのだ。それは彼にとっても民にとっても国にとってもだ。実に幸いなことだった。
麗しの王 完
2010・11・1
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