第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
18.July・Night:『The Planet Wind』
[7/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
謂『馬族撃ち』で放つ銀の娘。その銃弾と砲声は余さず蛆を捉え、空中で汚物の塊に変えて地面の染みと叩き落とした。
更に踏み込み、肉薄した彼女は銃口を突き付けた。それに、『妖蛆の秘密』は――――
『グッ……理解シタ。貴様ト我ニハ、埋メヨウノ無イ厳然タル実力差ガアル……』
「へぇ? 脳味噌まで糞尿と舞踏してる割には、物分かりが良いみたいだね」
嘲るように、降伏を受け入れた娘。くるくると回転させながら、その二挺拳銃を両腰のホルスターに仕舞った。
『――デアレバコソ、我ガ信念……奇襲ハ生キルノダ!』
その背に向けて放たれた、蛆と蝿、臓物の触手。最早、躱しようのないそれを――――
「イア、イア、ハストゥール……」
『ナン――ダト!?』
右手に番えた『トーラス・ザ・ジャッジ』――――生半可な切り詰め銃身よりも殺傷範囲が広い、散弾拳銃の五連撃が全て挽肉に変えて。
「――――アイ、アイ、ハスター!」
『ギ――――ギャァァァァァァ!?』
左手の『コンテンダー・アンコール』のライフル弾により、『妖蛆の秘密』を粉微塵と打ち砕いた。
「……汚い花火だ、ってね。やれやれだ、自殺志願者ほど救えないものはないよ」
颶風と共に、再び拳銃を腰のホルスターに戻した彼女。全てを俯瞰するように、砕け散った『妖蛆の秘密』の紙片を踏みつけて。
「コレ以外は逃げられた、か……流石に、此処まで生き残った原本だ。簡単には消滅しないか」
明らかに『書物』としては少ない破片に、初めて評価するように呟いた。
「――――――――」
それを、至近距離の特等席で見守らされた嚆矢。生きた心地など皆無、いつ殺されても止む無しと穿った決意までしかけた程。
渇き、張り付いた喉。他の、人外の主人公ならば、何か気の利いた事くらい言うだろう一場面。
「――――――――」
そこで、彼は何一つ言葉を話す事も出来ずに震える。否、出来る方がどうにかしている。
『無駄口を叩けば即死』の段で、意見するなど。
「へん、情けない奴……お前みたいな臆病者、殺してやるまでもない」
それを冷めきった眼差しで見詰めた後、娘は踵を返す。
その掌に、今しがた毟り取った紙片を握って。
「じゃあな、人間……もう二度と、あんなものに手を出さないで生きるように心掛けなよ。ボクに殺されたくなかったら、ね」
少しでも反骨の意思があれば殺す筈だった、呆気と怖気に囚われたままの嚆矢を他所に、逢魔の刻の宵闇に消えていったのだった。
………………
…………
……
白
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ