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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第1章 虚空爆破事件
18.July・Night:『The Planet Wind』
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う。
 落とした煙草が虚空に赤い軌跡を描き、アスファルトに緋の華を散らした。

『サァ、時ハ来タ。奇蹟ノ代償ヲ果タセ。貴様ノ求メヲ叶エタ我ニ、ソノ生命力ヲ捧ゲヨ。逃ガシハセヌゾ、久方振リノ活キタ血肉ダ――我ガ炉ノ一部トナレ!』

 禍々しく膨れ上がる、『妖蛆の秘密』の邪気。間違いない、この魔本は術者の『生命力』を欲している。
 それが例え、()()()()()()()()()()()()()なろうとも。

「――――ぷはっ! やっとあの臭いの片付けたかぁ……全く、さては今のはボクを近付けない為の、新手の旧神の印(エルダー・サイン)かい?」
「『――――?!」』

 その瞬間、饐え澱んだ空気の中に、一点の清涼な風が吹いた。

「やれやれ、蛆虫を呼んだんだからどれだけの達人(アデプト)かと思えば……ただのガキんちょじゃんさ。少しは期待したのにさ」

 背後からの軽やかな足音に動きを止めたのは、嚆矢だけではない。今の今まで蠢いていた『妖蛆の秘密』も、ピタリと。

「まぁ、いいや。お陰で伯父貴(オジキ)に良い手土産が出来た訳だし――――」

 まるで、蛇に睨まれた蛙のように。その動きを、止めていた。

――何だ、コレ……嘘だろ、体が動かねぇ……!?

 金縛りにでも遭ったかのように、硬直したその体。
 その目の前に現れた黄色の外套の後ろ姿に、破滅を悟る。漠然と、しかし確実に――この存在が、間も無く、何と無しに振り返るその仕草だけで……終わりだと。

「じゃ――――悪いんだけどさ。ボクも暇じゃないから、早速死んでもらうよ?」
「『――――――――」』

 そしてそれは、速やかに。翡翠の色味を纏った銀毛の、風に流れる美しい髪と共に、白金の瞳が見据えた――――

『――――オノレ、写本風情ガァァァァッ!』

 発狂したかのように、『妖蛆の秘密』が魔力を孕む。嚆矢の手から離れ、無数の蛆を弾丸の如く射ち出し――――

「――汚ったないなぁ。これだから、カビの生えた原本は」

 余裕のまま、外套の内から――――

「――イア、イア、ハスター! 汝、『大いなる無銘なりし者(マグナム・イノミナンダム)』!」

 『H&K USP Match』。制動器(コンペンセイター)照準器(レーザーサイト)を内蔵したカスタム型の、二挺拳銃を抜き放った。

「遊ぼうか――――蛆虫(ウェルミス)ちゃん? 大いなる一族(グレート・ワンズ)の儀式を記した程度で、『旧き世の支配者達(グレート・オールド・ワン)』に敵うつもりなら、さ?」

 背面に『?』を三つ組み合わせたような魔法陣を浮かべて獰猛に笑い、銃を横に倒した、所
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